前の記事「標準アプローチ法実技解説 /膝曲げ検査、膝上げ検査」
目次
標準アプローチ法実技の実際
標準APP法における骨格検査法
仰臥位での骨格検査
股関節転位について
(注:参考の図はわかりやすく変化を大きく表現していることをご了承いただきたい)
股関節転位による外見上の変化は以下に説明するものが全てである。
以下のような、様々な状態が複雑に絡み合い、現在の状態を作り上げている。
これらの原因で大腿骨骨頭を腸骨の股関節窩(こかんせつか)に固定するための靭帯と筋肉の緊張関係と大腿骨本来の形状による。
大腿骨は大転子付近でほぼ直角に屈折し、骨頭が股関節下に組込まれた状態になっている。
その途中の大腿頸部と呼ばれている部分に靱帯が集中し、組織が複雑に絡み合っている。
これらの組織を取り囲む状態で筋肉が存在する。
靭帯自体は動作することはないものだが、それを取り囲む筋肉が左右上下の緊張に不整合が生じると下記のように股関節転位が出現するのである。
前方転位
仰臥位で足先が外旋する。
実際に見た目の下肢が長く見える。
膝を立てた時に外側に倒れる。
膝上げ検査では真っ直ぐに大腿が立たずに外側に流れ、膝頭が高く(前方転位)
なる。
後方転位
仰臥位で足先が内旋する。
実際に見た目の下肢が短く見える。
膝を曲げた時に内側に倒れる。
膝上げ検査では真っ直ぐに大腿が立たずに内側に流れ、膝頭が低くなる。
上方転位
仰臥位で足が短くなる。
膝上げ検査では大腿骨下端がそろわない。
頭方(上方)に位置し自分から見て上へ上がっている。
歩くとそちら側に沈み込むように体がゆれる。
仰臥位で足の位置が内側に入り(内転)し外に開きにくくなる。
下方転位
仰臥位で足が長くなる。
膝曲げ検査では大腿骨下端膝頭が揃わず、大腿骨下端が足方向(下方)に位置し、
自分から見て手前に出ている。
歩くと反対側に沈み込むように身体がゆれ動く。
仰臥位で足の位置が外側に開き(外転)、内側に入りにくい。
総合転位
上記の4つの股関節転位の内、二つの転位が同時に発生した状態を総合転位と言う。
後上方転位は足が短くなるが、前上方転位の場合は上方転位で短くなっても前方転位で長くなり、差し引きされて長短が明確に出にくいので判断を誤らないように気をつけて検査を行うこと。
これは、現在では股関節検査によって、それぞれに検査が確立されており、骨格診断における支障がない。
ただし、これらは高度な骨格診断技術を必要とするので標準APP法では使用しない。
総合転位と判断した場合で、痛みや不具合が解消しない場合は回復標準APP法での範囲ではないと判断すること。
判断した場合、むやみに症状の改善を深追いしないこと。
これらの症状の対応は他の応用APP法技能取得者に委ねるか、これらの応用技法での手法を習得することが必要とされる。
応用APP法技能取得者が股関節総合転位と診断した場合は、適切な手法を行うことが出来るため、比較的早期に不調者の痛みや不具合も解消される。
標準アプローチ法/仰臥位・伏臥位骨格検査解説
<目次>
1.標準アプローチ法実技解説/ 標準アプローチ法手順について
3.標準APP法における骨格検査法/検査と観察(用語の説明)
7.標準アプローチ法実技解説 /膝の曲がりと高さをみる(仰臥位)
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