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第1 章 標準アプローチ法実技の実際
1.標準APP法における骨格検査法
(1)骨格検査時の注意
標準APP法における骨格検査はあくまでも回復法を行うために行う目安であり、それぞれの回復法にあっても患者を回復させるための手段に過ぎない。
患者が望むことは健康を回復するという結果が第一であり、そのための目的である。
骨格検査や手技が上手になることを目的にしてはならない。
患者の痛みや不具合を理解せずに、技術や理論をマスターしたところで意味はない。
骨格検査といえども、相手の気持ちになって行うことが大切である。
手技も骨格検査も単なる手段であり目的ではないと言うことを肝に銘じておくこと。
特にこの療法を始めて行う時は手技を上手に行うことばかり考えていると、上記のことを見失うことが多い。
手技や骨格検査は健康回復の道具であって、全てではない。患者が健康回復を取り戻すための全体の一部である。
回復法を実際に受けたり、見学されたことがある方はご存知であると思うが、患者の身体に軽く触れたり、ゆすったり、撫でたりするだけで、それまでの重度な症状が劇的に変化し改善していく。
逆に言えば、僅かな刺激でも無理があれば、無駄な身体への刺激は身体へ悪影響を与える事も注意しなければならない。
身体への接触は、安全、安心、優しく、気持ちが良いように、不意の刺激や衝撃作で相手を緊張させないようにすること。
相手に触れることばかりではなく、骨格検査、手法を行う前の段階からも、患者を驚かすような動作や音を立てたりしないように気をつけること。
身体の不調を訴えて施術に見える方は、外界からの様々な反応に常に身体が過剰防衛していることを頭に入れながら行うこと。
患者に触れる時は必ず目的を持って触れなければならない。
患者にとって予期せぬ接触は優しく、気持ちよい刺激以外は全てがその患者にとっては攻撃的反応(過剰防衛反応)として受け取られる。
攻撃的反応とはすなわち、身体の緊張状態を意味する。
一度過剰な緊張状態を与えてしまうと、身体にとって安全な刺激であると判断できない場合はいつまでたっても緊張状態を保ち続けてしまう。
また、骨格検査時に患者の身体を動作させる時にも、関節の可動範囲を超えた動作をさせたり、無意味な衝撃を与えたりすると同じく防衛反応が発動され骨格検査を行っても何の意味もなくなってしまう。
施術者は骨格検査を行ううえで、相手に不安やストレスを与えてはならない。
安心で安全な骨格検査であると言うことを患者によく理解させた上で骨格検査も行わなければならない。
精神的なストレスは心の異常な緊張を引き起こしている。
これらが原因で身体上の不調が出ている場合もあり、これによって身体の歪みや不調を引き起こしている可能性もある。
施術所に見える患者は顔色も良く、言動もしっかりしており外傷もなく、身体上の不具合がないように見える場合もある。
これらの患者は外見上からは周囲の人々に健康状態がわかりにくい場合が多く、患者にとって大きな精神的な負担となっていることがほとんどである。
このため、患者の痛みや症状などについて、施術者は無条件で良く聴くことが大切である。
患者の言い分を良く聞くことで心を癒すことが施術の第一歩と理解されたい。
これは骨格診断や骨格問診と同時に精神的な問題の解決にもつながる。
患者との適切な対応は患者のこちらへの信頼感を呼び起こすことにつながり、同時に骨格検査や手法に対するストレスを軽減することにつながる。
骨格検査も手法も全て患者との共同作業ということを肝に銘じる必要がある。
これらのことは、決して施術者本意で行ってはならない。
次の記事「標準APP法における骨格検査法/検査と観察(用語の説明)」
標準アプローチ法/仰臥位・伏臥位骨格検査解説
<目次>
1.標準アプローチ法実技解説/ 標準アプローチ法手順について
3.標準APP法における骨格検査法/検査と観察(用語の説明)
7.標準アプローチ法実技解説 /膝の曲がりと高さをみる(仰臥位)
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