回復整体の理論について

 

回復整体の7つのメソッドを例に簡単な理論を公開します。

このコーナーでは、誰でも簡単に7つのメソッドが活用できるように理論を掲載します。

見よう見まねで7つのメソッドを行っても、初心者のうちは問題ありません。

初心者でもカリキュラムとおりに骨格問診、骨格検査、骨格診断と行えば結果が出るようになっています。

しかし何度も繰り返し行ううちに、なぜ各技法で骨格上の不具合が解消されていくのか、理論を基に理解できてくると思います。

回復整体の理論を少しでも理解しておくと、自分がやっている行為に自信がもてると思います。

 

ストレスが身体(骨格)に及ぼす影響

人間の感情(知・情・意)いわゆる「心」は、人間の脳の中で最も発達している大脳新皮質の前頭葉にあります。 ここが感情・知識・意志の中枢といわれています。

怒りや恐れ、喜びといった情動の中枢は大脳辺縁系にあり、情動は他の動物にもあります。

人間はこの大脳新皮質が発達しているからこそ、人間らしい精神活動ができるようになりました。このように大脳が発達したことで、動物的な情動をコントロールできるようになったといわれています。

 

しかし、人間は情動をコントロールするために大脳を発達させたにも関わらず、いまだに動物的な情動が働いているのも事実です。

現代の日本は平和です。

原始時代のようにライオンや狼など、他の捕食動物に襲われる心配はないといっていいでしょう。

また、食物も大量に備蓄されていますから、よほどのことがない限り餓死することもないと思います。
そのように、目の前にそれほど危険がないと理性では分かっていても、動物的な情動は常に不安や恐怖を感じています。

 

例えていうのであれば、いつも歩いている道の物陰にライオンや狼が隠れているかもしれない。「襲われたらどうしよう・・・」と、いつも感じているのです。
日常生活において、人間は様々な意志決定に迫られます。

私達は仕事や家庭で毎日小さな決断をしています。

その中には本当はやりたくないこと、自分にとって好ましくないことも我慢してやらざるを得ないことが多々あります。

もし、我慢せず動物的な情動のみで対応しようとしたらどうでしょう。

 

自分の思い通りにならないと直ぐに怒ったり泣きわめいたりと動物のような対応をすれば、人間社会から孤立して生活できなくなります。

人間は大人になるほど社会に適応しようとして、本当の自分の気持ちを抑えて我慢しようとします。

これが感情のコントロールであり、大脳が感情を抑制している状態です。

しかし、我慢の限界は精神的ストレスとなります。

文明社会には法律があり、法律以外にも様々なルールがあり、それを守らなければ何らかの制裁を受けることになります。

制裁を受けたくなければ法律やルールに従うことが要求されます。

人間はこれらの決まりごとの中で生活し、それによって誰もが精神的ストレスを少なからず感じています。

人間として地域社会で生活していく以上、精神的ストレスの刺激は誰も避けて通れません。

更に、感情がどのように身体に影響を与えているか考えてみたいと思います。

 

人間の細胞は50兆という天文学的な数字で構成されているといいます。

健康な人間の脳は、これほどの数の細胞を完全に把握してコントロールしているのです。

人間の身体は生命を維持するために、様々な器官が連携して活動を行っています。
それは消化器系、呼吸器系、内分泌系、神経系、免疫系のことです。

先に述べたような精神的・肉体的ストレスに対応するために、これらが密接に関係して情報交換をしています。

 

例えば外界から何らかの刺激があったとします。

その刺激が危険なのか危険ではないのか無意識に判断し、その判断に応じて身体は即時反応します。

危険と判断すれば、自律神経の交感神経が興奮し骨格筋を緊張させます。

脳は実際の危険にも即時反応しますが、経験上の危険にも同様に反応してしまいます。

過去における身体への危険と思われる記憶からイメージしただけで、同様の反応が起こります。

 

交通事故で怪我をした人間は、救急車のサイレンの音や事故当時の周囲の環境(例えば自動車から漏れ出たオイルやガソリンの匂い)からも、交通事故を連想します。

このような時も、脳は実際の外界からの刺激への反応と同様の反応をしてしまいます。

簡単に説明すると、頭でイメージした内容が身体にとって危険という認識があれば、無意識に神経系が実際に働き、交感神経を興奮させて骨格筋を緊張させるわけです。

 

自律神経について

ここで自律神経という言葉が出てきましたので少し解説したいと思います。

人間の身体は、自分が意識して自由に身体を動かすことができる機能運動神経と、身体に感じる痛みなどの知覚神経等の「体性神経系」、心臓、胃、腸、肺などを無意識にコントロールしている「自律神経系」とに分かれています。

前述したように「自律神経系」は、恐怖・不安・怒りなどの情動をストレスとして感じたときに働きます。

血圧を上昇させたり、心拍数や呼吸数を増やしたり、汗をかかせたりするのは交感神経系の働きです。
この働きとは逆に、興奮を抑える働きをするのが副交感神経になります。

この二種類が「自律神経系」ということです。

 

交感神経と副交感神経が互いに必要に応じてバランスをとることで、身体をコントロールしています。

内分泌系は、身体の様々な場所にホルモンを分泌する内分泌腺から身体的・精神的な様々なストレスへの対応をするために、各種ホルモンを状況に応じて分泌・調節しています。

内分泌系の中枢は、脳の視床下部に集合しています。

また、免疫系は人間の身体を様々な外的侵入から守っています。
常にウイルスや細菌などの外部からの攻撃に即座に対応しています。

回復整体は誤作動した身体の動きをただす整体

回復整体の理論は、これらの脳の反応を基本として、間違った学習をしてしまった身体を精神的・肉体的に改善していくことにあります。

「病は気から」という言葉がありますが、この言葉も、精神と肉体は常に密接な関係があるという意味で昔から言い伝えられていたのだと思います。

精神的・肉体的ストレスは、骨格筋に大きな影響を与えます。

ストレスが継続的に長期間続くと、脳は習慣化されて繰り返された情報を蓄積します。

そして小脳が無意識にその姿勢や動作を行うようになります。

 

正常な骨格と比べて、バランスの悪い骨格はあらゆる身体の部位、臓器に影響します。筋の緊張や骨格のズレから神経、血管、リンパ管などを圧迫します。

その結果、様々な生命活動がスムーズに機能しなくなります。

回復整体は、これらの影響が病や怪我の元になっていると考えています。

ここで問題になるのは、私たちが直接関与することができない精神的なストレスになります。

例えば「胃が痛い」という症状をお持ちの方が施術にお見えになったとします。

身体的には、物理的な原因で胃の痛みが出ているのかもしれません。

しかし「職場の上司との関係性」という精神的な事が原因で胃が痛くなっているのかもしれません。

私たちは、相手の人間関係まで関与することはできません。

しかし前向きにストレスに立ち向かうために、健康になる情報を提供することはできます。

 

「健全な肉体に健全な精神が宿る」ということです。

肉体的に疲労が蓄積され動くのも大変な状況では、前向きな思考はできません。

骨格上過不足なく動くことができれば、精神的問題にも対応できると考えています。

回復整体の施術の現場では、精神的・肉体的なストレスからの刺激により、身体に悪影響を及ぼしていると思われる多くの方と接してきました。

 

特に精神的なストレスは、先に解説した身体をコントロールしている機能(神経系、内分泌系、免疫系等)に大きな影響を与えているようです。

回復整体は、骨格を元々その人物がもっている正常な状態に戻し、過不足なく健康的な生活ができるようにするための方法です。

これらの肉体的・精神的ストレスからの刺激は、骨格に大きな影響を及ぼします。

 

身体の動きが誤作動する仕組み

ここでこれまで解説してきた脳の反応から、身体が間違った姿勢・動作を学習している場合の例をあげて説明します。

腰の痛みを訴えている方がいたとします。

腰の痛みの原因は様々です。

腰を何かにぶつけたり、転んだりする外的要因でも痛くなるでしょう。

また精神的ストレスの影響から、身体に心の状態が投影されて前屈みの姿勢が多くなり、無意識のうちに腰の一部にストレスがかかっている場合もあるでしょう。

どちらにしても「腰の痛み」には変わりありません。

回復整体では、この腰の痛みと同時に「痛みをかばう姿勢や動作」を重要と考えています。

これまで説明したように、スポーツや自動車の運転などは生まれながらに持っている身体の動作ではありません。

 

その動作を繰り返し行うことで無意識に行えるように身体が学習するからできることです。

この仕組みと同じように、腰の痛みという現象によるストレスから逃れるために、意識的に「痛みのない姿勢・動作」を行うようになります。

繰り返しの動作が少ない、または刺激が少ないほど学習効果は薄れますが、逆に繰り返しの動作が長期間であったり、刺激が大きいほど学習効果は大きくなります。

 

痛みをかばう動作が更に悪影響を及ぼす

すなわち大脳が思考(痛みをかばう姿勢・動作)を繰り返し行うことで、小脳が大脳の思考をコピーして無意識に行えるようにしているわけです。

「腰の痛み」をかばう姿勢や動作からその状態が維持されることになると、骨格的に様々な不具合が発生してきます。

身体の歪みはそのようなきっかけからも成り立ちますし、歪みが慢性化すれば、これまで解説したように身体内部において様々な問題が発生し、病気になったり、骨格上正常な動きができないため転びやすくなったり、身体の機能低下から大きな事故に発展し怪我をしやすくなるということもあります。
回復整体は、このような身体的な不具合が骨格に及ぼす影響を改善する方法です。

脳が無意識に行っている間違った姿勢は、どんなに意識的に正そうとしても元に戻すことは難しいことです。

ですから正しい骨格の位置を相手の身体と心に同時に働きかけることで、改善させることを目的とします。

このテキストで解説している「7つのメソッド」は、回復整体の基本的な技法の組み合わせで、日常的に習慣化されている間違った姿勢を元に戻すために意識的に正しい姿勢や動作を繰り返し行います。

 

最終的に意識的(大脳)に行うことで無意識(小脳)に身体が正しい状態を維持するようになるわけです。

以上、回復整体の基本理論は「脳の反応」を生理的に応用して行うことと理解して、実践していただきたいと思います。


基本7メソッド<目次>

回復整体基本メソッド解説(はじめに)

普段何気なく生活している中で人間はどのように身体を動かしているのか

回復整体の理論について

基本7メソッド骨格検査・診断編

直立姿勢位歪み診断法<姿見検査法>

直立姿勢位歪み診断法<アーム検査法>

正座姿勢位骨格診断法<正座検査法>

直立姿勢位歪み診断法<腸骨検査法>

イス姿勢位骨格歪み診断法<イス腰掛検査法>

基本7メソッド実技編

1.イス姿勢位回復法<イス足組法(骨盤前後の調整法)>

4.伏臥位腰背部軽擦法<広背筋を緩め筋肉痛解消>

5.イス前屈微圧法<座位で腰背部の緊張を解消する>

6.原位足首回転法<下半身・骨盤の全体調整>

7.上腕伸ばし姿勢位回復法<上半身の全体調整>


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