数年来の関節(筋)の硬直解消法

施術において一般的に最も解消しにくい、

やっかいだな、と思っている症状が数年来の関節(筋)の硬直ではないかと思います。

五十肩、股関節症、膝関節症、諸々の症状です。

これらの症状は一度の施術で完全にとりきれるものではありません。

なぜならば、これらの関節の状態は、

骨格全体の動きに合わせて日々の動作を無意識に動かせるように

記憶してしまっているからです。

考え方として、子供のころに身体で憶えた自転車の乗り方は忘れない。

これと同じ原理だからです。

悪い動きを身体が学習してしまうと、

その年月が長いほどその状態で身体を動かせるように

骨格がその動きに合わせているからです。

具体的には関節の可動が少ないということは、

その関節の動きに必要な筋肉を使っていないということになります。

ようするに他の動作に対する関節の動きは退化しているということです。

これまで使っていなかった動作をするためには、

あらたにその動作のパターンを脳が記憶するための、

訓練期間が必要となります。

たとえて言うのであれば、

がちがちに固まった関節ほど、初心者向けの訓練をしなければなりません。

今までどんなに普通に動けていた人間であっても、

上記のような状態になった場合、すぐには戻れないのです。

初心者には初心者向けの訓練が必要です。

では、この場合何かといえば、

1.ゆがみの解消

どのような状態であろうと、その人間の現在における最善の骨格とする。

むりにするのではなく、程度と加減を利用する。

その方の現在の状態に合わせて歪みをとるということです。

10年間ひどいゆがみがあった場合、完璧に歪みをとることがいいとばかりはいえません。

歪みを解消しすぎることで、相手のホメオスタシスを壊してしまうと、

身体が怖がって悪い結果が出ることがあるからです。

僅か1ミリの関節の可動であっても、その可動が10年ぶりであれば、

身体はその範囲でも恐怖を感じることになります。

相手の現在の状態をよく観察して歪みの改善についても加減することです。

2.硬直した関節は1ミリの可動でもよしとする。

1の歪みの解消と同様ですが、10年来の関節の硬直であれば、

無理にその状態から大きく変化させようとして無理をしないことです。

ホメオスタシスの原理をしっかり理解し、歪みが解消しただけで、

関節の可動域が広がっていれば、それでよしとする勇気も必要です。

僅かな関節の硬直が解けただけでも、その後他の関節に与える影響は、

ものすごく大きなものです。

追いかけすぎて時間の経過を考えず行うと、

やはりホメオスタシスの原理が働きます。

時間のかけすぎは最初より痛みがひどくなった・・・ということもあります。

身体に触れすぎることは危険極まりないことです。

硬直を解消するには、大技を意識するより、

段階として、

①空触法 ②微圧法 ③軽圧法

の順で考え、1ミリでも可動を広げることから考えると良いでしょう。

諸先生方はプロですから、本人がわからなくても、

僅か数ミリの可動域の拡大でも見逃さず観察することです。

軽擦法は程度と加減が比較的容易にできます。

なので、①~③に合わせて使い分けることができます。

この場合、一番硬直が見られる部位からやわらかい部位の中間で行うのがポイントです。

また、内部の筋繊維の方向性を意識して行うと効果的です。

数ミリでも可動域が広がれば、その時点で最大に広がった部位にて、

①または②を行い、その部位の周辺に対して軽擦法を行うといいでしょう。

まだまだありますが、ポイントとしては上記のように小さくまとめておこなうことです。

3.小さな部位を行うときほど全体を観察する。

例えば膝、足首、手指など、小さな部位の硬直を解消していくときほど、

一つ一つの技法を行っている際、その部位の変化が全体にどのように影響があるかを観察する。

指先の硬直が解消した際、身体を全体として観察して他の間接等の影響をみます。

全く関係のない部位であっても、変化があれば直ぐに痛みの確認や、

緩んだ関節に影響があれば対応することです。

緩みすぎることでホメオスタシスがはたらき、

身体が恐怖を感じることもあるからです。

その場合は直ぐに他の部位についての対応をすると同時に、

施術の時間の配分を見直すr事も大切です。

4.施術終了後の動作に注意

硬直がひどく、可動範囲が広がるほど背術後の相手の動作には注意が必要です。

殆どの先生方が、せっかく施術で効果が上がっているのに、

施術台から起き上がるときの動作や、

立ち上がりや、最初の第一歩の歩行時にホメオスタシスがはたらいて、

一瞬のうちに身体が恐怖を感じて痛みを発令することがあります。

このことの注意事項は、会員はビデオで説明してありますので、

繰り返し勉強してください。

以上、基本的なことですが、

全てを一度に解消し、大きな手柄を立てようと考えるのは、

施術家としては当然です。

しかし、私たちの療法は大技を使って一発逆転というものではありません。

現在の相手の環境(心身のホメオスタシス)を考慮しながら、

少しずつ結果を出すことが大切です。

これを忘れてしまうと、本来の理論から外れることになります。

関節の硬直の解消についてのポイントですが、

他の症状にも当てはまりますので同様に考えてください。

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