筋ウエーブ法理論解説(簡易バージョン)

目次

筋肉を直接操作する筋ウエーブ法(解説)

~筋の深部の緊張及び疲労を解消する~

骨格筋を意識的に動作させる方法

これまでは骨格を利用して筋を操作
ウエーブ法は筋そのものをダイレクトに操作
筋の操作は脳の反応に基づいて行う

筋ウエーブ法の目的と活用

①筋ポンプ作用を人為的に活用し血流の調整し、エコノミー症候群やその予防に活用。
②筋の起始、停止において筋の付着部を考慮して重力と筋の位置関係から自然な牽引を利用してウエーブを発生させ自然な牽引を助長する。
③直接触れることの出来ないインナーマッスルを自然な牽引を用いてアプローチする際に活用。
④骨格、各関節を利用せず主動筋のみのアプローチで一つの運動に参加するすべての筋(共同筋)に影響を与える。
⑤身体全体の筋肉疲労を回復させたい場合に。

どのような場合に有効なのか?

関節に付着する末端の部位に有効
これまで直接操作できなかったインナーマッスルに有効。
主動筋と同時に協力筋、補助動筋にウエーブをかけることで間接的に共同筋全体にアプローチができる。
疲労性の筋緊張は、遅筋繊維を酷使した結果発生しているものが多い。
筋を酷使して直ぐに行うことで疲労が解消する、又は筋の疲労を軽減できる。
むくみや腫れ、血液やリンパの循環などに有効。
エコノミー症候群とその予防法として活用できる。
疲労性の様々な関節痛(腰痛・膝痛・股関節痛・四十肩・五十肩等)、スポーツ時の筋肉の張りや急激な収縮(こむら返り等)
その他、他の応用技法で解消できない症状に関しても有効。

骨格筋ポンプについて

身体の筋肉の70%は下半身にある。
筋肉内には多くの血管が存在している。
下肢の筋肉には特に重力により体液が停滞しやすい。
静脈血は心臓に向かって流れている。

血液を送り出すために身体は3つ圧力を使う。
心臓の収縮、呼吸ポンプ(横隔膜を利用)、骨格筋ポンプ。
これらを使い、静脈血の循環を行う。
特に骨格筋ポンプが滞ることが多くこれを人為的に行うことで様々な身体不調を取り除くことが可能。

筋繊維の走行

筋にはそれぞれ個別に、大腰筋、外側広筋、腓腹筋、前脛骨筋、等名前がある。
更にその形状によって分類される。
形状による分類は方向による分類ともいえる。
筋ウエーブ法の実践には、筋繊維の走行に着目することは重要である。

紡錘状筋・・・筋線維が筋の長軸に平行に走り、付着位置近くで収束する筋。一般的な形状の筋。(腓腹筋等)
半羽状筋・・・筋の走行とんランで走る腱の片方に筋性部位が斜めに付着している形状の筋(長指伸筋等)
羽状筋・・・筋と並んで走行する腱の両側に筋性部分が斜めに付着する形状の筋(大腿直筋等)

半羽状筋及び羽状筋にあっては、筋線維が筋の長さに対して斜めに走行している。
そのため同様の筋の量においても、紡錘状筋と比較してより力が強い。
これに比較し、紡錘状筋はより多く短縮が出来ることが羽状筋との違いである。
これにより紡錘状筋は、早く大きな力を必要な部位にあり、羽状筋は動きが小さく、強い力を出すような部位に適している。
各部位に適応した筋が存在している。

筋繊維の走行とウエーブ法

筋ウエーブ法を行うにあたり、筋の走行を意識するとより多角的に身体の不具合にアプローチが可能である。
筋の方向性が同じ部位においても表面部、深層部によって筋の走行が違う。
主導筋にあわせて筋ウエーブ法を行う場合と、インナーマッスルにあわせて行う場合と、それぞれ施術者があてがう掌、指等の角度、方向性を考えて実施することが大切である。

筋は身体各所において、主導筋のような大きな筋、補助的に使われる筋、それぞれに役割がある。
進退の不具合の発生にも力学的な意味がある。
特にインナーマッスルの細かな筋については、指先の鍛錬が必要である。
主導筋のウエーブは筋の走行は比較的意識して行える。
例えば顔面や頸堆の筋群にあっては細かい筋が走行しているため、意識を集中しなければならない。
常にこのことを念頭においてこの技法を実践すること。

筋(腱)の牽引と重力の関係

通常、筋は違った複数の骨をまたがり、付着している。
関節は、骨と骨が筋(腱)により連結している。
骨格筋の収縮で重力に逆らうように骨が動作し、身体運動となる。
筋ウエーブ法では、骨と骨を結ぶ筋(腱)を関節をまたがる筋の状態により、筋そのものの重量が、重力によりどの方向に牽引がかかっているか見定めることも必要である。

人間は日常生活の動作においても、何もせずに骨格において筋の付着点から筋が垂れ下がっている。
重力に引かれて、それぞれの姿勢や動作において、筋は常に牽引がかかっている。
日常において、筋は自然な状態でこれら筋の重さそのものが付着点から自ら牽引がかかることで、拮抗筋の作用以外に牽引状態をつくっているともいえる。

筋の走行や、付着点の確認は、この技法において得に重要であるため、このことを常に念頭に入れて行うこと。
筋に波を送ることで筋ポンプ運動を加速させる技法である。

腓腹筋(図:仰臥位膝屈曲時の例)

腓腹筋(仰臥位膝屈曲時の例)

*上記図の例は仰臥位にて膝を屈曲させている際の腓腹筋。
各筋肉の形状、付着部位、姿勢によって筋肉の牽引方向が変わってくる。

次の記事「腰部疲労痛回復法/筋ウエーブ法主体の技法(解説)」


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