ある日こんなことがありました・・・
その患者さんは、70代後半の女性でした。
この女性はお仕事柄、毎日着物を着ているとのことでしたが、
施術にみえる日は洋服でした。
数ヶ月前に階段を踏み外して腰を痛めての来院でした。あまりにも身体のゆがみが
ひどかったので、患者さんに鏡の前に立っていただき、
「ほら、○○さんの身体はこんなに曲がっていますよ」と事実を伝えました。
すると患者さんは
「私は日本舞踊の師匠をしています。今まで一度も姿勢が悪いと言われたことはありません!」
怒ったように返答され、その後の予約はとらずに帰ってしまわれました。
開業したばかりのとき、実際に経験したことです。
技術だけあればやっていけると過信していたんだと気づかされた出来事でした。
こうした現場での教訓を生かし、
「伝え方」・・・これも整体の技術の一つとして考え、指導しています。
私は自信のある技術で即結果を出せば次の予約につなげることができると考えていました。
しかし、この出来事で、
自信のある技術だけでは通い続けてもらえないことに気がついたのです。
どうしたら来院される方全員に通い続けてもらい、
完全に痛みの出ないところまで回復させることができるだろう?
いろいろ試して考えてみてたどりついた結果が「コミニュケーション力」。
学院三法のうちの「伝達法」です。
「あの日の出来事」を境に私がやってきたこと、
それは決して技術だけではありませんでした。
それはしっかり回復するまで通い続けてもらい、
患者さんを笑顔にし、患者さんのあきらめていた夢を実現すること。
当学院では自信のある技術はもちろん、
伝達法はそれ以上に重きをおいて指導しています。