講義文章起こし
研修を受けた整体師の皆さんの復習用に活用ください。
(講義内容を文章に起こしただけなので、誤字脱字、急に話が飛んでいる個所があることをご了承ください)
目次
はじめに
司会 いいですか。では、4月18日、初日の午後の部を始めます。気を付け、礼。
一同 お願いします。
司会 はい、ではきょうは初日ということもありまして、小森学院代表の方から、回復法のどだいになっている考え方の部分を講義していただきます。よろしくお願いいたします。
小森 座ってください、それでは始めますね。「回復の技」というテキストをもらっていると思いますけれども、ここでは大まかな人間の生理的な反応について説明しています。
呼吸を利用して、こんなような脳の反応、現象を利用して回復整体というのはさまざまな症例を改善していきます・・・そのような内容になっています。
人間は外界からの刺激や内面の刺激(ストレス等)に反応する現象について、そこに書いてあります。
もし呼吸したときに、人間が息を吸っているときに、どんな刺激を与えれば、どういう反応をするか?
そのときに、回復整体の技をどのように行えばよいか?
基本的なことが書いてあります。
では、なぜ人間のそういう生理的現象を応用した方法を回復整体では利用しているかというと、そこには単なる人間の生理現象を応用した技術ということを超越している部分があります。
整体師になって、人の役に立ちたいだとか、もっと収入を得るとか、そうした目先の事だけではないんですね。
もっと根底の部分のことを整体師の皆さんに理解してもらいたいと、いつも思っています。
回復整体は日本人の根底を考える整体
人間とは何かとか、なぜ人間がこの地球にこれだけ繁殖しているかとか、人生をどうすれば幸福に過ごせるかという思想とかがあって、そのためにはどんなことに気を付けていけば・・・
こう話していると、哲学的な話に聞こえますが、もっと簡単で難しいことではありません。
今からお話しすることは、「日本の環境」に日本人が対応してきた知恵という部分についてのことです。そこから発展していくと、どうしてもそんな難しい?感じになってしまうんですね。
皆さんはご家族がいますよね?
では、家族とはなぜ存在しているのでしょうか?
今、皆さんが存在しているのはご先祖様が命をつないでくれたから、ここにいる方は生きていられるんですね。
その後先祖様が、この地で生きながらえてきたからこそ、私たちは存在していることを感じてほしいんです。
私たちは日本という国に存在しているわけでして、長い間この国のご先祖がいろんな意味で、どうしたら健康で幸福な人生を歩んでいけるのか?
様々な知恵を私たち日本人は、先祖代々受け継いできたんですね。
文化や伝統、社会風習など日本という国に住んでいて、その環境に合わせた生活というものがあります。
今はグローバル社会の波が押し寄せてきて、こうしたことが失われつつあると思います。
もっとも、古いものがすべて素晴らしいとか、良いものだからすべて残して守らねばならない。
そんなことはないと思います。
新しいものは新しいもので、どんどん取り入れて発展させていくのも日本人の長所ですよね。
和魂洋才ということばがありますが、今後もこのような日本人の精神は忘れずに、良いものは学んで取り入れていく文化が日本の長所だと思っています。
でも、最近はどうでしょうか?
なんだか、良いものは良いと取り入れて発展してきたことが、どんどん海外にもっていかれてしまい、衰退していますね。
話題がそれました、話を戻します。
日本人の生活環境を考えてみる
日本の文化や伝統など、もう古い、必要ない。そう思うケースもあるかもしれません。
時代に合わないことを無理にやっても、発展性はないですから。
しかし、日本という国に住み生活するための方法として考えたらどうかという事です。
これは国によって違います。
日本の四季を考えてみてください。
夏は暑く、そして梅雨時期はムシムシと湿気があります。
冬は雪が降り積もる地域もあるくらい寒い。
秋や春はその中間としても、寒暖の差がかなりある季節です。
人間というのは環境にあわせなければ生活できない動物です。
日本という国の環境に合わせた生活が必要です。
衣服についても、環境に合わせているからこそ、夏物冬物というようにあるわけです。
食べ物だって同じです。
住む家だって、日本家屋っていいますが、日本の四季に合わせた仕様でつくられているんです。
日本に西洋風の家を建てると言って、現地の材料を使うと、ゴキブリが増えたとか、湿気がぬけないとか聞いたことがあります。
本来はその地域で採取された木材を使うのが一番いいんです。
環境にあっていますから、しっかりつくれば長持ちします。
でも今は安いからと言って輸入木材を使いますよね?
本来は環境にあっていないので、長い目で見たら自然にあっていない、日本の環境にはあわないのだと思います。
季節の野菜、季節の魚、自然というのはその環境に合わせて恵みがあるんです。
暑ければ、体温を下げる食べ物があり、寒ければ体温が上がる食べ物がある。
環境にあった住居にすむ。
現代では年がら年中、季節に関係なく何でも食べることができるので、冬でも体温が下がる食べ物を食べたり、身体の健康バランスを崩しやすいんですね。
とはいっても、現実に季節に合わせた食生活を完璧にすることは難しですが、やれないわけじゃない。
面倒なだけ、お金がかかるから、長続きしないんです。
砂漠にすむ国の人は、砂漠にある乾燥した地域の生活があり、その生活に合わせた衣服や地域で取れた食物、住居があるわけです。
雪が年中積もっている国では、寒い環境ならではの生活、衣服、食べ物、住居・・・
こうしてみると、人間は環境に合わせるが、環境は人間に合わせてはくれないんですね。
仕方ないから、その国の人間が環境の変化に合わせて、何度も失敗しながら、あわせよう、あわせようと、工夫して今があるんだと思います。
だから、急な環境の変化に人間はついていけずに、急激に気温が上がったり下がったりすると風邪を引いた、熱が出た、どこそこがおかしい・・・
というように健康のバランスが崩れるんです。
これって、本当はあたりまえのことでしょう?
日本人なのにあたり前の生活を忘れている
現代の日本人はこの当たり前のことを忘れてしまっているんです。
ここで言いたいのは、私たちは整体師として「日本の環境に合わせた姿勢や動作」といいうことを考えてもらいたいのです。
古い生活様式から新しい生活様式になって、失われてしまった健康的な姿勢や動作について、新しい環境でどうしたらその姿勢や動作を補うことができるかってことをです。
元々の日本人の生活様式には、健康にとても良い習慣もありました。
土間があって、畳があって、夜寝るときは押入れから布団を出して、朝は畳んで押し入れに入れる。
掃除のときは、廊下にぞうきんをかける。
毎日の生活です。この生活様式は人間の足腰をとても強固にする働きがありました。
皆さんは、筋トレをしないと足腰の筋肉が発達しないと思っていませんか?
たしかに筋トレをすれば、筋肉が鍛えられるでしょう。
でも、それはバーベルや器具を上げ下げするだけの筋肉、筋力の発達にしかなりません。
もちろん、スポーツ競技の補強運動としては役立つのかもしれません。
でも、日常生活の中では必要かどうかというと、必要ないかもしれません。
日常的な動作は日常的な動作でしか鍛えることができないんです。
私も筋トレをやっています。スクワットで重い重量を何度も上げても、階段の上り下りは疲れます。
長い階段だと息が切れます。
掃除なんてめったにしないですから、廊下にぞうきんなんてかけたら、全身筋肉痛です。
このように鍛える筋肉が違うんです。
特に生活の中で鍛えられた筋肉は、健康に役立つんです。
もちろん、無理な動作や姿勢を生活でつづけたら身体が歪んで良くないです。
先の話に戻ると、日本人の生活様式には昔から環境に合わせたルールみたいなものがあったのです。
家の中で考えると、掃除のときのぞうきんがけは、しっかり腰を上げて、背筋を伸ばして一気にかける・・・
食事の際は畳ですから、正座して背筋を正して食べるときは食べるということを子供のころから躾けられました。
勉強するときも同じですね。
なにをやるにも節度があったと思います。
ゴロゴロ、ダランとするときは、そうする。
でも、何かに集中して作業するときは背筋を正して行う。
そんなルールです。
これらはすべて環境から発展して遠い昔から、ご先祖様が伝えてきたことです。
日本に住むための「環境」から健康的な生活を考える
日本の環境に合わせた家屋があり、そこで生活するためにはどのような身体の動き、姿勢を取れば良いのか?
こんな姿勢をすると、腰を痛めるよ、こんな動作を続けていると膝や肩がおかしくなるよ。
こうしたことを自然と家族の間で伝え合っていたんだと思います。
今はどうでしょうか?
畳の部屋がある日本家屋が少なくなっているという事もあります。
土間なんて必要ないし、ベッドで寝起きしている方も多いです。
床から立ったり座ったりすることも、昔より少なくなっています。
正座の習慣なんて、もうなくなっている。
正座は膝の最高のストレッチなんですが、全てではないにしても、子供たちの足腰が弱くなっています。
高齢者にしても、何でもかんでもバリアフリーということで、転ばないように階段ではなくスロープでらくにしてあげるとか、家を建て直すときは段差を極力ないように建てるだとか。
こうしたことは確かに便利で、転倒事故などを予防するにはいいかもしれません。
でも、違った視点で考えると、健康な高齢者にまで、日常生活に必要な筋力を維持する運動の機会を奪う事にもなっています。
このように日本という国の環境が、全ての日本人に関係しているわけです。
四季がある、そして寒暖の差があり、外界の刺激から身体を守るために、それに合わせた家屋があり生活様式があるという事です。
その生活様式の中で、モノや道具をどう使うかで健康状態も変わってきます。
畳でなくて、椅子の生活が多くなれば、膝を極限まで曲げる正座をしなくなりますから、膝が弱くなる。
布団からベッドへ、トイレも和式から様式に、土間から西洋風の玄関に・・・いったん膝を曲げしゃがんでから、立ち上がるという動作が椅子などの家具をつかうことで少なくなっています。
これって、筋トレで言うフルスクワットですね。畳から立ち上がる動作も入りますから、もっと運動量が多いんです。ジムに通わなくても、昔は毎日やっていたんです。
どれも時代に合わせた生活様式で、こうした生活様式の急激な変化に日本人の身体がついていけないということが今起こっています。
長年かけてご先祖様から受け継いだ生活様式から、全く知恵のない生活様式にここ数十年でほとんどの日本人が切り換えてしまいました。
西洋の生活様式にもルールがあります。椅子やテーブルの使い方、食事の際のマナー、など。
西洋の家具や道具の本当の意味での使い方を知っている日本人は少ないのでは?子供に教えられますか?
どの国にも生活のための躾はあると思います。でも便利というだけで本来の使い方を知っていることは少ない。
もちろん、生活習慣の変化がすべて病気や不調の原因と言っているわけではないです。
その一つの要因という意味で、考えてみることも大切だと思うんです。
新しいものが入ってきたら、環境にあわせて使う(姿勢や動作)
そういうところに、生活に便利な機械器具が取り入れられて、もうわけがわかりません。
機械器具の取り扱い説明書は詳しく書いてありますが、それを使う人間の姿勢についての説明書は全くないです。
特にスマホやこれに関連した電子機器の使い方、操作方法ではなくて、操作する側の人間の姿勢や動作についてのことです。
歩きスマホが問題になっているように、命にかかわることもあるわけです。
長時間のスマホ操作は、自分の姿勢の事なんて忘れちゃっている人が多いと思います。
私も人のことは言えないんですが・・・笑
寝っころがって、顔を横に向けて、何時間もスマホをいじっている、よくないですよね。
もう、片時もスマホを離せない。依存者っている人もたくさんいます。というより私もそうですが。
スマホを例えに出しましたが、新しい生活に便利な物は新しいからこそ、「健康的な使い方」をまず最初に教育すべきなんですね、本来は。
で、整体院をやっているとわかるんですが、こうした生活様式の変化で身体をおかしくされている方が非常に多いという事なんです。
皆さんが感じている以上に、骨格の歪みやその歪みからあちらこちらの神経やら臓器がおかしくなって病気につながっているってことです。
整体院に来る患者さんで、施術で良くなっても根本的な解決としてこうしたことを指導してあげないと、また同じ生活様式に戻るわけですか何か月、何年かすると同じ症状が現れるってことも考えられるんです。
ですから、私たちはこの根柢の部分をしっかり理解して日々の仕事に役立てる必要があるというわけです。
最初にお話しした、「日本という国に存在している事実は、長い間ご先祖がどうしたら健康で幸福な人生を歩んでいけるのかということの知恵を受け継いできた。」
ということなんです。
インターネットから大量の情報を得ることは知識を増やすことですが、そこから経験としての知恵は学べません。
経験を通して、直接の関係性の中でこうしたことを伝えていってほしいんです。
古い生活様式がなくなり、新しい日本の環境に合わせた生活様式を地域の皆さんに指導していくという使命があると思うんです。
つづく。
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