回復整体・経営・伝達(コミュニケーション)プログラム
前回の記事「整体院の口コミを患者さんはどうしたらしてくれるのか」
目次
1.理想のコミュニケーションは想像力を働かせて行うこと
「患者さんに合わせることが必要」ということは考え方というより、理論そのものと言ってもいいでしょう。
なぜなら回復整体の理論は「脳」の反応を応用した手技だからです。
潜在意識の働きや感情の働き自体が、骨格に影響するということを最も考慮して行う必要があります。
なので患者さんとのコミュニケーションにおいて、整体師が「想像力」を働かせることは本来の施術と同じ意味を持つのです。
「言葉」一つで相手の症状を軽減したり、逆に考えもせず適当に対応してしまえば、痛みを増幅させてしまう事もあるわけです。
子供の育て方についての瀬戸内寂聴さんの話ですが、「子供の育て方で何が大切ですか?」という質問に対して、「頭が良くないお父ちゃんお母ちゃんから生まれてきた子供なんだから、期待なんてしちゃだめなのよ。」と言いながら、「どういう子になっても良いんだけれど、おおらかにその場にポンとその子がいただけで、その場がパーッと明るくなるような子にしなさい。そして、もうひとつはやっぱり感謝するということですよね。そしてもうひとつは、想像力のある子に育てなさい。」というようなことをおっしゃっていました。
それを聞いて、やはりと納得しました。
最近は想像力の無い子が多いようですが、想像力が無いということは、つまり感謝が無い、思いやりがないということです。
想像力を身に付けるには、とにかく本を読むことです。
他人の知識を得て、読めば読むほど想像力が出てきます。
活字を見て想像しない人はいないでしょう。
施術家も全く同じです。
そういうことができている人は、施術家としても自然に想像力を働かせることができるのです。
想像力の欠如した方は施術家としては失格です。
私たちの理論は五感を大切にしますから、想像力がなければ失格というよりできないのです。
相手を思いやるとはどういうことでしょうか。
思いやりというのは、想像力そのものです。
相手のことを想像しないと思いやることはできません。
どうしたら相手が喜ぶか、思いやりを持って接したらどんな反応があるか想像するでしょう。
いいことも悪いことも想像力ですから、想像力を磨くことが大事です。
いくら水泳の金メダルをとった人が、泳げない人に1年でも2年でも机上で講義をしても泳げるようにはなりません。
そういう技術的なことを言葉で説明してもやらせようとしても、通じません。
それは、単なる知識に過ぎないのです。
想像力は知恵です。
私たちが情報を与えて、先生方が創意工夫するという知恵です。
人類が発達したのも知恵のおかげであり、私たちは知恵を寄せ合い、いいものを作り、社会を築きあげてきました。
施術自体も知識ではなく、知恵です。
知恵は活用するもので、知恵を使って工夫して施術に当てはめていくのです。
組み合わせて、想像し、試行錯誤しながら、その症状に当てはまった施術を考えていきます。
そのためにあらゆるものに興味を持ち、とにかくいろいろな知識を身に付けてください。
それが想像力を養うことに繋がります。
施術に対しての知識だけでは、知恵は身につきません。
いろいろなところでいろいろな経験をしないといけません。
この仕事の経験だけではなく、過去の自分自身の人生経験を土台として、有効に役立てればいいのです。
2.相手の症状や痛みを施術者自らの体に移し変えて考えることが大切
腰が痛いという人がいたら、自分の腰が痛いと想像します。
ですから、自分に痛いところがあったら喜んでください。
痛いところがあるとその人の気持ちがイメージできるでしょう。
五感の作用には相手の痛みを自身の経験に基づいて、自分に移し変える機能があります。
痛がる人を見ると、自分は実際には痛くなくても痛かった時のことを思い出し、手に取るようにその痛みが分かります。
脳というのは、そのように働くのです。
逆に先生方は健康ですから、リュウマチの痛みを想像できないのではないでしょうか。
私もなったことがないので想像できませんが、想像するように努力はします。
リュウマチに関するものを読んだり、聞いたりすることで、リュウマチの人に会ったりすると「あ~、痛いんだろうな。」という気持ちにはなれるはずです。
そういう努力が大切です。
いろいろな怪我や病気を自分で経験していると、相手の痛みが手に取るようにわかり、施術をしているときに自分で自分を施術しているような気分になることがあります。
想像力が豊かな人ほど、相手の痛みが想像でき、思いやることができます。
感謝するというか思いやりというものは想像力なのです。
自分がリュウマチになるわけにはいかないので、いろいろなことを勉強して、自分の感情を揺さぶり、想像するのです。
心の痛みも体の痛みもわからない人は、施術家になっても成功しません。
とはいえ、想像ですから人によって想像することに違いがあります。
例えば、みんなが挨拶している中、一人だけ挨拶もなく、さっと行ってしまったとします。
人によっては無視されたと腹を立てる人もいるでしょうし、トイレにでも急いでいるのかなと思う人いるでしょう。
皆それぞれ過去の自分自身の経験を土台にし、今の行動を過去の経験を基に脳の部分から引き出し、様々なことを感じているから、人それぞれ見方が違うのです。
痛みに置き換えたとしたら、その痛みに対する人の行動は全部違うはずです。
心を読むわけにはいきませんが、回復法では体の反応を見ながら、人の心まで推測して読むことが出来るのです。
それがイメージ力です。
3.思いやりは相手の背景を読み取ること
何故この患者さんが自分のところに来たのか想像するとしましょう。
これは相手の精神的な部分です。
私も1日に30~40人入った日は、中々こう考えられなかった事がありました。
自分にとっては「今日も30人」ですが、向こうにとっては一対一ですから、ぞんざいにしたら離れていってしまいます。
プロですから10分から20分の間に、こういう精神的なもの全てを読み取る訓練をしなければなりません。
思いやるということを深く考えてみると、その根底にあるのは想像力です。
想像力がないと相手を思いやれません。
相手の痛みや不具合を持つ気持ちを思いやり、心も身体も許すということだと思います。
人の痛みを聞いて、「またこんなこと言っている・・・。」と思うことはエゴです。
自分の心が受け入れると、相手の言葉も許すことになります。
私もお年寄りから時々「痛い痛い。」と聞いていた時、心では「また言ってるよ。うるさいなあ。」と思い、流れ作業的になってしまったことがありました。
すると、だんだんこちらが苦しくなり、仕事が嫌になってきてしまうのです。
経営は安定していましたが、パソコンで副業を始め、意識が外れたことと重なり、昔からの患者さんが離れていった時期がありました。
ある時首を壊し、歯が全部だめになり、2、3ヶ月苦しい思いをし、それで初めて患者さんの思いがわかったのです。
その経験があってから、人の痛みの話になったとき「それはそうだよな。」と我が身のことのように考えられるようになりました。
患者さんはいろいろな痛みを通していろいろな愚痴を言ってきますが、無条件で聞いてあげなくてはいけないのだと気付きました。
「もうここでしか痛みはとれない。」などどんなことを言ってきても、私はその背景を考えるようになりました。
それが先程言った想像力です。
私も歯や首を痛めた時期に、パソコンのやりすぎで目がちかちかし網膜剥離に近いことになり、その時に初めて不安感というものがわかりましたので、一人一人がどういう思いで来ているのかを考えられるようになりました。
例えば、おばあちゃんが毎日「痛い、痛い。」と言っていれば、家族も聞くのが嫌になり、「おばあちゃんうるさいな。」という感じでぞんざいに扱われているのではないかと想像します。
回復ノートを見てあちこちの病院を回っていたのを知ると、辛かったのだろうと感じます。
すると一人一人に対して、例え10分15分の間でも真剣に話を聞くようになります。
むしろ短いからこそ真剣に聞けるのです。
試験勉強でも追い込みでやったときほど真剣になりませんでしたか?
学生の頃に一夜漬けの経験もあるでしょう。
短ければ短いほど、人間というものは集中します。
それと同じように施術時間は15分程度しかありませんが、その15分をその方との一対一の真剣な時間だと意識するといろいろなことを聞くことができます。
短い時間でも真剣に聞くことで「10分15分なのにものすごく長く感じますね。」と言われるようになります。
ですから、相手の思いを読み取るために想像力を働かせ、痛くなった過程やその人の家族との思い、お年寄りなら今までの人生全てを想像し、これまで日本を支えてくれた人がこれだけ身体を痛めているのだからなんとかしてあげようという気持ちにならないといけません。
年寄りをバカにする人はしっぺ返しが来ます。
よく考えてみてください。
痛がる人は家庭で話を聞いてもらえず、家庭でも病院でも相手にされないのです。
どこにも相手にされない時、人は誰かに心を許して聞いてもらいたくなるのではないでしょうか。
以上のことは、本当に心理の部分なのでテクニックではありません。
4.患者さんの気持ちを最優先に考え、不安を取り除く
不調のある方の感情を最優先に考えましょう。
不安と不満の違いは何でしょうか。
不安は、未知のものに対してどうなるかという想いです。
例えば人間が一番死に対して不安があるのは、死んだ先に何があるか分からないからです。
私たちは宗教ではないので、患者さんが痛みを持ってきたらその不安を解消するためにまずは聞いてあげましょう。
無条件に聞いてあげることで、大概の不安は解消します。
そしてその先を見せてあげるのです。
リウマチで手が曲がって全く動かない人に、施術をして指が動くようになり、希望が出てくればどんどん良くなります。
ほんの少しでも動くようになれば、動く可能性があることを想像させることができます。
電気で一時的に柔らかくしたのではなく、薬でもなく、自分の意識で少しでも動かすことができたのですから、そこに自信を持たせるのです。
本人より違いがわかる家族を連れてきてもらい、周りが感動すれば、それが励ましになります。
どんなに心強いでしょうか。
感動は伝わるものです。
例えば、ただのミネラルウォーターの入ったペットボトルがあるとします。
事前にある1人以外と打ち合わせし、「この水おいしい!」「おいしい!」と盛り上げると、打ち合わせていない人は本当にその水をおいしいと感じるものです。
このようにイメージはたいへん大事です。
まずはこちらが相手を思いやることをイメージすれば、それは相手に伝わります。
そのイメージが回復に繋がるのです。
5.どんなことでも患者さんの話は無条件に聞くこと
患者さんは不安を解消するために、話をします。
思っていることを吐き出すだけでも、だいぶ楽になります。
私たちは施術家であり、施術所を経営しますが、結果的にカウンセリングのようなことをすることになります。
常々述べているように、体に触ることだけが施術ではなく、五感からの情報はすべて体に感じる情報ですので、相手の話を聞くことはとても大切です。
相手がアウトプットするだけで心が軽くなり、要するに副交感神経が働き、体が楽になるのです。
痛みを持っているということは拷問を受けているようなものです。
痛みを持っている人は常に痛みに体を苦痛な状態にさせられているので、平常心でいられるわけがありません。
そのため不安などちょっとしたことに敏感に反応して、クレームめいたことを言うなど施術者を困らせることもあるでしょう。
無条件に聞くとは言え、相手の不条理や間違いは正さなければいけませんが、頭ごなしに「それは違う。」などと否定してはいけません。
まずは話を聞き、聞いたことに対して「私はこう思うのですが・・・。」ということを提示して相手に考えさせるようにします。
相手の要望は痛みを解消して健康な体に戻ることですが、病院や他の施術所で散々「良くなりません。」「ここまでです。」「痛みと上手に付き合っていきなさい。」などと人生においての大打撃をうけてきたのですから、非常に敏感になっているのです。
6.最後は否定文で終わらない
患者さんは特に言葉尻を捉えてきますので、最後の言葉が非常に大事です。
例えば、睡眠時間が足りず言うことを聞かない方に「3時間しか睡眠をとらなかったんですか?3時間の睡眠では回復しませんよ。」と言えば、最後の「回復しません」という言葉尻しか相手は聞いていません。
先生に良くならないと言われたとインプットされてしまうのです。
その五感からの情報でダメージを受け、極度に落ち込んでしまったり、怒って予約を取らずに帰ってしまったりすることもあります。
しかし単純に「今は3時間の睡眠時間ですが、あと1、2時間増やすともっと楽になりますよ。」と言えば、同じ意味でも否定文が肯定文になっただけで相手に与える印象は全然違います。
最後は否定文で終えないことです。
不調者は特にマイナスの言葉を敏感に聞いているので、例え間違った言葉でなくても相手の経験上傷つける言葉だったのなら、それは施術上では間違いだったということです。
一般の人間関係でもたいてい最後の一言で失敗しませんか?
そんなこと言わなければいいのにということがあるでしょう。
7.患者さんの話に潜む重要なキーワードを見逃さない
患者さんが話すことには何一つ無駄なことはありません。
愚痴であれ、クレームのようなものであれ無駄な情報はないのです。
前にも述べたように、不調の背景を考えることが非常に大事であり、患者さんの話すことはそれを想像するために不可欠な情報です。
その患者さんがなぜここに来たのか、どんな気持ちで来たのか、心情を理解してあげましょう。
徹底的にそれを考える訓練を普段からしてください。
例えば、スマイル0円という言葉があったら、本当にそうなのか背景を考えます。
店にとっては0円かもしれませんが、その笑顔の女の子を育てるのにご両親がどれだけ苦労したか、そうとうお金をかけているだろうという風に想像する訓練をするのです。
少しいやらしい見方かもしれませんが、物事に対し、常に疑問を持ち、その裏の仕組みを考えるようにすると、患者さんさんの背景をパッとイメージすることができるようになります。
愚痴ばかり言う人が来たとしても、そこに重要なキーワードが隠されているのです。
以前、お嫁さんとお姑さんがお互い通っていることを知らずに施術に来ていたことがありましたが、お互いの悪口ばかり言っていました。
双方の話を聞いていると、お嫁さんの見方とお姑さんの見方が全く違うことに気づきました。
内部まで踏み込むことはできませんが、体の視点からのアドバイスをすることで意外と解決できることもありました。
人と人とは繋がっているので、嫌な人が家にいれば気が休まらず、精神的な安らぎが得られない方もいますので、ちょっとしたアドバイスで気が楽になる方もいます。
話をとにかく無条件に聞くことと述べてきましたが、10分、15分の施術でそんなに話を聞くことはできないという方がいます。
しかし、10分なら10分でその人の持っている問題や痛みを取るのがプロです。
その10分間に集中するのです。
集中するためには、繁盛していなければなりません。
一日に1人2人では、自分も暇であり、相手も聞いて欲しいので一時間くらいだらだら話を聞くことになります。
しまりのない話を聞いても、結局は同じことの繰り返しで、最後には嫌になってしまいます。
相手が話を聞いてもらったと感じられれば、10分でも全く問題はないはずです。
相手の目を3秒間見て、途中で会話の目線を外したりしながら、聞くときは聞くという態度を示せば、10分が相手にとっても自分にとっても非常に長い時間に感じられます。
時間は同じでも、体感時間は心理的なものに左右されます。
試合に集中すると長い時間が短く感じ、事故に遭うとはねられて地面に着地するまでの時間が長く感じられるという話はよく聞きます。
脳の仕組みがそうさせているのです。
達人会のメンバーで収入が急激に上がった先生に理由を尋ねると「私は話を聞いただけです。」という答えがよく帰ってきます。
痛みのある人は、医療機関などで話を聞いてもらえず、民間療法の先生にも聞いてもらえず、傷ついた状態でやってきます。
そこで話を聞いてくれ、共感してくれる先生に巡り会ったことで、頭の中は花が咲いたような状態になるのです。
医療機関でも、家庭でさえも共感してもらえる人は本当に少ないのが現状です。
そこを救ってあげることがこの仕事の肝だろうと考えています。
それが出来るかどうかは、今まで耐え難い苦しみを抱えて我慢したことを想像し、イメージする力にかかっています。
それが素直に豊かに想像できる人ほど、いい施術家になれると言えます。
ただ、前にも述べましたが共感はすべきですが、同情をしてはいけません。
これは先生自身の健康のために言っているのであり、先生の健康は患者さんのためでもあります。
心身ともに健康でなければ、よりよい仕事はできません。
私たちは結果を出すので、口コミがより重い症状の人を呼びます。
それは自分の技術に地域が信頼を置いているという証ですが、そういう方を一日に何人も見るのですから、全ての人の重荷を一身に背負っていったらどうなるでしょう。
カウンセラーという職業は一日に3、4人しか見られないそうです。
うつ病になってしまう方も多いと言います。
聞くときは真剣に聞き、終わったらスパッと忘れるべきです。
その切り替えができない方は、この仕事はしないほうがいいでしょう。
特に女性は注意してください。
もともと母性本能があるので、相手のためになってあげたいと同情してしまいます。
開業する上では覚悟が必要です。
どんな人が来ても話を聞くという覚悟であり、施術中は責任もあります。
しかしながら人間は五感で有益、無益に限らず、いろいろな情報に左右されていますから、家に帰ってからのことまで責任は持てません。
例えばうつ病の家族がいる患者さんが来たとしても、どんな話でも施術中は真剣に話を聞きますが、その方が帰った後、家族がどうなっただろうと自分の心を不安にさせてはいけません。
気張ってやりすぎても長くは続きません。
地域のために長く続けてやるつもりなら、いい加減ではなく良い加減でやることです。
8.患者さんの厳しい言葉は自分自身を成長させる情報
難しい症状や難しいことを言う方が来ることは、感謝すべきことです。
全てが自分の経験になっていきます。
自分の力で痛みを取ることができないと先生は頭を抱えてしまいますが、私は「その方が来てよかったね。」と言うでしょう。
その先生の所に簡単に取れるような痛みの方ばかり来ていたら、天狗になってしまったかもしれません。
痛みが取れないことを経験し、その痛みを持ってきてくれた患者さんに感謝の気持ちが持てれば、また上に上がっていくことができます。
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