整体院を起業する前に必要な考え方
目次
この記事で以下の事が学べます。
- 会社員から脱サラして整体院を開業する場合、経営者としての視点で物事を考える。
- 整体院を開業する前に整体師(治療家)としての目的と志を持つこと。
- その目的に使命感を持ち、目的は自分のためだけではなく地域や周囲にも影響があること。
- 技術は情報であり、その情報を受け入れてもらうことが整体院のサービスの提供である。
- 情報を受け入れてもらうために、整体師(治療家)は指導者としての自覚と威厳を持つこと。
- 指導者になるには信頼関係が必要であり、相手と共感することを考えること。
- 独自性のある整体院として、共感を得られる仕組みを経営に取り入れる。
1.会社員から脱サラして整体院を開業する場合、経営者としての視点で物事を考える。
このページでは整体院を起業する前に必要な考え方を述べたいと思います。
ご商売されてこの業界に入った方もおられると思います。
また、これまで他の療術関係で開業されて、当学院に入学された先生方もいらっしゃると思います。
それ以外の研修生は、これまで商売をされたことのないって方(雇われていた方)なので起業するということについて私の考え方としてお聞きください。
今からお話しすることは、どんなかたちであれ起業しても収入が上がらなかったとか、収入が取れてなかった方に共通することもあると思います。
整体院を起業すると決めたとき、学んでおかなければいけないことを説明していきますね。
私たちは既に1000人以上の方に、回復整体の技術と経営方法を指導していますから、その分野では専門家だと自負してます。
実際に研修生として指導した方以外にも、毎日のように様々な形で相談を受けています。
電話もそうですが、メールやSNSなどのツールから問い合わせがあります。
タイミングが合えば、直接お会いしてお話を聞くという事もありました。
そうしてお聞きした悩み事だとか、改善したいという内容はほとんどの方が同じような感じでした。
療術の技術を学んで、開業したのだけれども経済的な自立ができてなかったり、食べていけなかったり。
この仕事はどうも社会的に認められにくいという気持ちを訴えている方が多かったと思います。
私たちは何故そのような思いを抱いてしまうのかということを、整体スクールを開催してから何年も考えて、その内容を多くの方に実践してもらいました。
100%上手くいくとは言えませんが、療術業界のなかでみれば成功率は高いと思います。
私たちが整体院を何年も開業してきた技術と経営のノウハウと、そのことを基本として日本回復整体総合学院の研修に参加してくださった多くの方に実践してもらった結果がそれを物語っていると思います。
こうした経験を何年も積んできましたので、整体院を経営していく方法の確信というものを理解しているつもりです。
どんな仕事でもそうですが、核心の部分を知っていると知っていないのでは整体院の経営を継続させていくには天と地との差ほどあります。
これまで「あそこの整体院はなぜあんなに繁盛しているのだろう?」
と疑問に思っていることが理解できると思います。
2.整体師(治療家)として「目的」「志」「使命感」を持つこと。
施術家(治療家)の前に経営者であると、このことを原点と考えないと開業してもうまくいかないと思います。
「当たり前の事」かもしれませんが、療術業の先生方の多くは脱サラして業界に入られた方が多いので、経営者としての意識が非常に低いと思います。
そして、もう一つは「志」です。
経営者であり、志を持っている。
ようするに一般の会社と同じように、会社を立ち上げれば自分が社長で、社長には理念があって、理念に沿った経営をしていくということです。
理念から外れた経営が続けば、会社は経営が難しくなることもあります。
事業に限らず、スポーツでも慈善活動でも何でも同じですが目標というものがなければ継続して活動が出来にくくなります。
人間の脳は目的を与えられると、目標を決めて自動的に活動できるようにできています。
スポーツで例えれば、オリンピックで金メダルをとる!と考えたとき、目的を金メダル取得におくのではなく、金メダルを取得して何をしたいのか?
金メダルを取得するのは目標であって、本当の目的は日本の子供たちに夢を与えたいだとか、被災地の復興支援に役立てたいだとか・・・・
その後の目的をもっと大きなものに置くことです。
目的を達成するために、更に使命感をもつことでそれを高める意識が芽生えてきます。
使命感なしで商売だけを考えて、手段を選ばずお金儲けをすればそのサービスは衰退していきます。
他の目的を持つことで単なるお金儲けではなく、最初に持った志とつながるような活動を行うことで世間に認められ何年も仕事を続けられるのだと思います。
残念ながら多くの方は整体院を開業する前に、こうした目的を持っていた方も経営が行き詰まってくると忘れてしまうのです。
目的や志が素晴らしくても、具体的に収入を得るということを考えないとこれもうまくいきません。
素晴らしい仕事をやっているのだから、お金は後からついてくる・・・
技術を磨き続ければ口コミで患者さんは必ず増えてくる・・・
どちらも間違いではありませんが、どちらか一方だけを考えていても同じ結果になります。
いつまでも整体院の経営が軌道に乗ってこないと、お金の事ばかり考えるようになります。
何とか患者さんを増やすために、施術料金を値下げしよう。
施術の時間を長くしたり、ジュースやお菓子のサービスをして満足感を高めよう。
というように、値下げや付加価値を付けることで切り抜けようとします。
しかし、こうした考え方はどこも同じです。
価格競争に巻き込まれれば、資本力がある大手に負けます。
物を与えることでサービスに付加価値を付けようとすれば、もっとサービスしてくれというワガママな方が増えていきます。
患者さんに尽くすサービスとは値下げやプレゼントをしたり、お菓子を出したりすることではありません。
3.患者さんの目的を履き違えず、情報提供をサービスとする事
私たちが考える患者さん第一のサービスとは、痛みや不具合を早期に改善し、元の生活に戻ってもらう事。
患者さん自身の最終目的は「痛みや身体不具合のない健康な生活」です。
良い人生を送ってもらうことが整体師の最終目的です。
人生とは時間そのものですから、来院される患者さんの今の人生は、「痛みで苦しんでいる無駄な時間」とも言えます。
命を無駄にしているのですから、苦しんでいる時間を少なくしてあげることは、相手の一部の命を救うお手伝いをしているわけです。
このように本来の整体院が提供するサービスを間違えると、上手くいかなくなるのです。
雨が降っている時に必要なのは傘なのに、濡れたらこれで拭いてくださいとタオルを渡されるようなものです。
タオルでどんなに拭いても、雨がやまない限り、濡れ続けます。
ほかの事でごまかしても、患者さんの本来の目的が達成されなければ意味がありません。
施術家(治療家)としての志があり、そして使命感を持ちこれを高め、患者さんにどれだけ尽くせるか?
経営者として、サービスを与える顧客に何を提供できるのか?
そのためには、どんな方法で患者さんが欲しがっている情報を提供するのか?
技術と言わず、情報と言ったのは痛みや不具合を改善することは、技術の提供ではなく、健康になるための情報と考える方がしっくりきます。
ここでは詳しくはお話ししませんが、私たちの整体は相手の脳に良くなるための情報を送ることと考えています。
技術とはすなわち、身体に触れることもそうですが、生活習慣や間違った身体の動きや姿勢などを改善するための方法です。
これを技術と言ってしまうと、自分本位に感じられます。
「患者さんに施術をしてあげる」というようにこちら側からの一方通行のようにです。
そうではなくて、情報の提供を受けた患者さんと施術家(治療家)との共同作業という位置づけで考えます。
相手に不足している情報を与える。そしてその情報を患者さん自身が受け取り実行する。
では、そのような関係性を構築するにはどんなことが必要でしょうか?
「整体」というサービスを提供するために必要なことです。
4.情報を受け入れてもらうために整体師(治療家)は指導者として自覚と威厳を持つ
先ずは信頼関係です。
信頼がなければ、患者さんはこちらの情報を素直に受け取ってくれません。
疑いの目で見たり、お金儲けだけと勘違いされていては信頼は築けません。
整体師は頭を下げて、サービスを提供する仕事ではありません。
(上から目線とか、失礼な態度で接するという事ではないです。)
これまでお話ししてきたことからお分かりになると思いますが、私たちは整体院(治療院)に来院される患者さんの指導者であるべきです。
仕事でもスポーツでもそうですが、その指導者を信頼できなければ、まじめに指導を受けようとは思いません。
信頼を得るためには、単に整体の技術を持っているというだけでは伝わりません。
専門用語でまくしたて、年配の患者さんに説明しても伝わりません。
年齢や性別、職業や趣味などを考慮して相手が受け入れることのできる言葉で説明をしなければ伝わらないのです。
伝わる言葉で説明するためには、患者さんとの共通点が必要です。
共通点があれば、共感が生まれます。
患者さんと共感できれば、健康になる様々な情報を受け入れてくれます。
伝達法とは相手と共感することであり、その接点をみつけるために整体師は勉強しなければなりません。
20歳代の整体師はゲートボールをあまりしないと思います。
でも、年配の方がゲートボールで腰を痛めたと言えば、ゲートボールの事を知っていた方がわかりやすいです。
主に年配の方が行うスポーツでも、若い方が学んでそれを知っていれば嬉しいものです。
伝達法は相手の方と共感する方法であり、また、骨格診断を行うために必要不可欠の方法です。
痛みや不具合の根本原因は、骨格を検査しただけではわかりません。
原因を特定するためには、相手が忘れていることさえも引き出さないと改善しないこともあります。
信頼関係を深め、相手が心を開いてくれると過去の情報を引き出すことが容易になります。
雑談から、ふっと、幼いころの怪我や病気などの話が出ることがあります。
実はその時の原因が現在出ている痛みや不具合の根本だった・・・
そういうことが多いのです。
5.指導者になるには信頼関係が必要であり相手と共感することを考える
患者さんとのコミュニケーションが大切ですよ。
といいますと、単なる雑談で相手と共感するノウハウと言われる方もいます。
物販じゃないんだから、「リップサービス」なんて必要ない。
そういうことではないのですね。
回復法の技術を提供するために必要不可欠な方法です。
話が脱線しましたが、仕事で頭を下げないということは、指導者として相手との信頼関係を築くことで健康になるための情報を受け入れやすくするということです。
学校の先生がサービス業に徹してしまったらどうなるでしょう?
相手の言いなりになり、勝手にさせたり、楽なことばかりやらしていたら?
宿題をやってこない、他人の迷惑も考えず授業中に無駄話。
何のルールもなく、自由に勝手にさせていたら、子供たちが先生を指導者とは思わず、信頼しなくなります。
子供が文句を言えばごめんなさいと逆に頭を下げている先生もいるとか。
現代社会で問題になっている「学級崩壊」となります。
物を売るサービス業と同類の整体院なら、安売りして、相手に頭を下げて「また来てください」となります。
痛みを解消するためには、相手が情報を受け入れて素直に実践してもらう必要があります。
学級崩壊の子どもたちではないですが、宿題をやってこない、無駄話をする、遅刻して来てもいいと思っている・・・
頭を下げるサービス業と化した整体院では同じことがおこります。
健康になるための情報を受け入れない。
「原因はここにあるから、生活でこんなことに気を付けてくださいね。」
と伝えても、真面目に話を聞いていないので守らない。
宿題をやってこない子供と同じ。指導者としての威厳がないから、その辺のコンビニの店員さんと同じ感覚で接するのです。
ですから整体師は指導者であり、頭を下げる仕事ではないということです。
スポーツのコーチや学校の先生と同じで、威厳を持って相手にこちらの話(情報)をしっかりうけとめて、実践してもらうことが重要です。(威張るという事ではありません。)
6.独自性のある整体院として、共感を得られる仕組みを経営に取り入れる
現在、私たちの学院では「独自性のある整体院の経営」を実践してもらうためのカリキュラムを組んで指導しています。
共感を高めるための整体院の経営方法です。
誰でもいいから、自分の整体院に来てほしい・・・頭を下げてのサービス整体ではありません。
整体院や院長先生自身に興味があるから、好きだから、趣味や考え方が同じだから、そこに集まる仲間といると楽しい。
そんなカテゴリーを地域でつくることです。
繁盛していない整体院(治療院)の院長先生は、繁盛している整体院(治療院)を横目に、「なぜあの整体院が繁盛しているのか理解できない」と思っていたかもしれません。
ですが、卒業生の多くが開業している中で特にうまくいっている整体院は上記に書かれたことを実践しているところです。
このことは回復整体の整体院以外にも言えることです。
整体院に限らず、繁盛しているお店には必ず共通点があるのです。
共通点が見つけられないから、ご自身との比較ができないのです。
*独自性のある整体院については以下の記事を参考にしていただければと思います。
こんな「ちょっと変わった整体師」の育成もしています!↓