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骨格変位と脳との関係~暗示による身体変化~
人間は感情を伴った動物であり、感情をコントロールするために、脳が他の動物と比較して、大きく発達したともいわれている。
特に、脳の大脳辺縁系という領域は動物としての本能行動や情動行動、人間の様々な学習行動などの指令を行っている。
あらゆる行動から生じるモチベーションや、恐怖や快、不快という感情や情動反応を呼び起こす機能が大脳辺縁系の働きである。
回復整体では、この大脳辺縁系から生まれる、情動反応を様々な骨格変位を発生させる原因のひとつとして考えている。(他に身体の生理作用のでの特定の刺激に対する反応も考慮し、回復整体の実践に役立ている)
不調を訴える人間の多くが、骨格の変位からくる、様々な症状や痛みを抱えている。
多くの手技療法では骨格の変位のみ解決すれば様々な不調が解消すると考えているが、骨格の変位自体が何故発生しているのかその事実を解明していない。
擬似薬という現代医学でも、治験で用いられている方法があるが人間とは大脳辺縁系の情動反応が関係して、実際に身体に影響を与えているという研究結果が多数報告されている。
プラシーボ効果という、いわゆる思い込みや暗示による効果が骨格の変位も大脳辺縁系が関与して骨格の変位を発生させていると考えている。
現代医学では、思い込みや暗示効果が影響して、本来効果がないはずの物質が自己暗示や思い込みから、何らかの効果が発生した。
医学的にも一般的にもプラシーボ効果はそのように考えられている。
回復整体ではこれらの事実を単なる何らかの思い込みによる偶然の身体反応だとは考えていない。
脳が関与しての情動や様々な外界からの刺激による反応が骨格や身体内部の組織に大きな影響を与えていると考えている。
骨格における変位についても健康を害するほどのものであれば様々な症状や痛みの原因となり、更に健康を回復する際にもプラシーボ効果が関係して骨格の変位を元に戻すということも行われていると考える。
例えば、慢性的な関節痛を持病として何年も抱えている不調者がいるとする。
それが、膝であれば、その不調者は毎日歩く、立つ、座るなどの動作での日常的な膝の痛みをこらえながら生活をしている。
当然だが、痛みを伴った日常生活は情緒を不安定にさせいつ改善するとも分からない将来への不安、転んだり、躓いたりして症状が悪化するのではないかという不安など。
このような不調者の感情はいつも不快なことが多く、脳からの指令も常に交感神経優位に働いていると言える。
常に身体をこわばらせ痛みのない姿勢を意識的に探すことで、その動作を脳が記憶する。
これらのケースでは何年も整形外科や様々な民間療法の治療を受けそれでも改善しないことが多い。
ようするに、「もうこれ以上良くならない。」
という、不安や恐怖からくる情動反応が先に立ちプラシーボ効果の逆の反応、ノンセボ効果(逆暗示効果)をかけているのだ。
逆暗示効果とは、この場合、いつ改善するとも分からない将来への不安や、社会生活を営む上での、様々な弊害など、健常者では思いもつかない不安や恐怖から発生する、身体反応である。
脳からの指令により骨格筋は緊張状態になる。
更に、この状況が習慣的に継続されると、慢性的な骨格変位へとつながる。
この状況を解説してみる。
身体の内部では、不安や恐怖と言う情動反応はストレスとなり、副腎髄質よりアドレナリン、ノルアドレナリン等のストレス反応を引き起こすホルモンが分泌される。
例えばアドレナリンは、ストレス反応の中心的役割を果たし、心拍数や血圧を上げつづける。
本来、ストレスという用語は、工学や物理学で、物体に力が加わった際に発生する「ひずみ」のことである。
回復整体でいう、ストレスとは、骨格変位に起因するあらゆる原因としている。
(身体へのあらゆる刺激、この場合外部からの刺激のみならず、経験から脳内の記憶に基づき引き出されたイメージからの情報が身体に与える影響も骨格の変位を誘発するストレスを引き起こすであろう、生体に加えられる、環境因子をストレスと表現する。)
アドレナリンは交感神経が興奮した状態、“闘争か逃走か”のホルモンと呼ばれる。
これにより動物的な反応として、外敵から自らの身を防衛したり、獲物を捕らえるために全体をストレス状態におくことで全器官にストレスを発生させる。
回復整体では骨格を変位させる要因として、物理的、化学的、生物学的、精神的から発生していると考える。
このうち、現代医学や他の民間療法では疾病を怪我の原因として外部から加えられるものとして物理的、化学的、生物学的な研究や対処法は比較的研究が進めてられている。
内部からの刺激である精神的な原因から発生する疾病についても、精神療法や薬物治療などが行われているがこれに付随する骨格の異状から発生している健康状態にまでは、研究されているどころかほとんど未開発の分野である。
例え、原因が判明したところでその状態を改善するための方法については、現代医学を主体とした考え方では考え及ばぬ領域と思える。
回復整体では、身体の内外で発生するストレスとは、生体の状態をいう。
身体の内外部からの刺激による骨格変位(骨格筋の緊張による関節変位、歪み等)の状態が発生した際に、これらの刺激に適応しようとして生じる身体内部で起こる反応。
身体の内部、外部から発生した、あらゆる刺激に反応する骨格の変位は、様々なストレスから発生していると定義した。
脳はその反応が有害とされれば、骨格は変位し、防衛的反応をとろうとする。
それは、身体の防衛、適応の反応でありその結果として「骨格の変位(関節変位)の状態」になると考える。
上記説明から、身体(脳)は様々な要因からストレスが発生した際、あらゆる環境に即座に適応するため脳における視床下部-下垂体-副腎皮質系からホルモン分泌が盛んに行われ、脳は自律神経系及び免疫系が全力をあげて防衛反応が働くように指令を与える。
その骨格変位が痛みを伴う場合、更に骨格変位は増幅され本来の正しい骨格からすれば力学的にも不安定な骨格の動きを強いられることになる。
その結果、様々な関節において、骨格筋は不自然で、無理な動作を繰り返すことで痛みは慢性的に発生する。
更に、痛みを伴う骨格変位の初期には意識で考えて行われているが繰り返し習慣的な動作になると、脳は無意識にその動作が行えるように長期記憶として留め正常な骨格と比べた場合間違った身体動作を行うことになる。
我々人間が日常的に様々な動作を考えることなく行えるのと同様何らかの要因から、間違った骨格を維持するように脳の中のプログラムが書き換えられたような状態といえるだろう。
回復整体では上記の説明のように様々なストレスの要因から、骨格上の問題から健康問題が発生していると考えている。
いずれにして、外的、内的要因に限らず送られてきた情報の全てを脳が判断し、必要な指令を下し、対応している。
その結果、良くも悪くも他の部位がその指令によってあらゆる現象を引き起こしているのである。
すなわち、その反応が健康上の問題につながれば関節の変位やそれに伴う関節の動作中、静止中の痛みとして慢性的症状として意識にのぼることになる。
精神的要因による骨格変位
(左が正常な状態。不快なイメージを思い浮かべただけで骨格が変異する。)
更に詳しく、精神的要因による骨格変位について説明する。
精神的要因からのストレス反応は継続して行われていなくとも健常者と比べれば、毎日幾度となく感じることで骨格の変位があらゆる部位で発生することになる。
毎日習慣的に行われることで脳はその状態を長期記憶としてとどめるようになる。
いわゆるスポーツや自転車の運転、習い事などが意識で考えずとも行えるという状態と同じように不調な状態で骨格を無理に動かすことが原因で、不安や恐怖と言う情動反応が上記のような脳内における反応が起こり、その状態(正常ではない骨格の変位)を発生させるのである。
これらは、実際の痛みや関節の不具合というその場での部分的な刺激ももちろんであるがその痛みや不具合を元に、健康上の将来への不安や正常な社会生活を営むための不安が上記のようなノンセボ効果(逆暗示効果)により正常な骨格を維持できない環境に自らの脳が間違った指令をを身体(骨格筋)に送り続けることが原因となっているともいえる。
骨格の変位は、不調者が副交感神経優位に働くような情動反応を起こすことで著しい改善が見られる。
脳内の情動反応を利用することで、骨格の変位が原因での様々な痛みや不快な症状が改善されるということである。
単純な理論だが世間では不安や恐怖についての骨格変異について研究している機関はないのではないかと推測する。
心の問題が骨格にどのように影響を与え更にその影響をどのような方法で解消したら健康を取り戻すことが出来るのか。
この二つを同時に考えている方法は殆どないのが現状だと思う。
プラシーボ効果の精神と身体に影響
では、身体が健康になるための思い込み暗示による効果、プラシーボ効果がどのように精神と身体に影響を与えているのか他の研究機関の報告から考察してみる。
身体と心との関係をは脳のそれぞれの部位が共同し協調する働きによる結果との専修大学の研究結果もある。
神経心理学者のドナルド・ヘッブは、脳の神経細胞のシナプスは、あらゆる経験などに対応して、脳内回路を形づくる能力をもっているといい、この仮説はその後の研究で実証された。
1994年にハーヴァード大学で開催された、暗示効果に関する報告では、ボストン大学の精神科医は、信じることで、脳は働き始めると語った。
信じることで脳はその事象の確信があることで、暗示効果かからそのことを実際の出来事として認識すると、それに対応する神経回路が作られる。
脳はその事象が現実のものであれ脳内でイメージされたことであれ、そのことを信じることでそれに見合った指令を発する性質がある。
人間の脳は思い込み暗示により現実であるか非現実とにかかわらず、そのイメージを実現するために身体と精神の調和を行おうとする。
思い込みや暗示効果は人間がこれまで生きてきた経験を元にその状況が曖昧な情報であるほど、周囲から推測して生命の危険を回避するため迅速に行動することが必要になる。
固体としてこれまで生きてきた経験を元に脳は危険を回避するためにあらゆる予測を行う。
その予測は人間ばかりではなく動物であっても同じことが説明できる。
身近な例で私が飼育している雄のラブラドール・レトリバーの例で紹介する。
この雄のラブラドール犬は我が家で生まれ成犬まで飼育された。
この1年間は人間を疑うことさえ知らず人懐こく、従順に育った。
約1年ほど飼育した後、獣医にて去勢を行った。
獣医に連れて行く際何の疑いもなく自動車に乗って楽しそうに家を出た。
獣医では去勢のための手術でこの犬が経験したことのないほどの痛みと恐怖を味わった。
手術とは犬にとって理解できるものではないため大怪我をしたと同じレベルの出来事である。
その後この犬は我が家の自動車を見せただけで尾尻を巻いて震えだすようになった。
それも身体を硬直させブルブルとひどく振るえ、おびえた声を出すのだ。
時には我が家の自動を見ただけで、おびえながら糞尿を漏らすことさえある。
獣医にいくのではなく犬にとっては楽しいはずの海や公園に遊びに出かけるためであってもである。
この犬の脳内では、「我が家の自動車=手術の恐怖」というイメージが成り立っている。
しかし、恐怖の体験は犬にとっては傷みの原因は自動車で出かけたというイメージが作り出すことでその事象が身体の反応まで及んでいる。
このように犬にとっては獣医での手術は生命を脅かすほどの恐怖の体験であり、そのイメージは自動車に乗って出かけたと言う事実をその体験から長期記憶として留めている。
人間にとっては移動の道具であっても我が家の犬にとっては危険な物体であり、その後の危険を予測し過去の記憶から危険を感じ取り、脳が防衛反応を発令してしまうのである。
上記は犬の例であるので、人間ほど複雑な思考を持ち合わせていない。
人間は更に思考が複雑なだけ危険を回避するために、様々なイメージから記憶を引き出すことで危険を回避すると考えられる。
人間は例え直接的な経験がなくてもこれはもしかしたら危険ではないのか?
という推測のものとで過去の経験から似たような記憶を引き出す。
脳は危険回避のために常に「これはもしかすると、危険ではないか?」という前提で仮説を判断基準として行動する。
その判断基準の中に、実際に経験した出来事以外に過去の記憶から合成したイメージや想像し、本来は事実ではない思い込みや実際には間違った情報であっても関係なくその役割を果たすためその情報に基づいて脳は指令を発する。
人間の場合の例(交通事故の体験)
では人間の場合の例を出してみよう。
交通事故の体験で怪我をしたことがある人間がいたとする。
脳はその事故で大怪我をしたのであれば自動車に関係する、危険を回避するため関連付けされた情報を引き出そうとする。
交通事故の際五感を通して感じた情報もその時の怪我の状況からくる恐怖や不安という情動に当てはめ、記憶に留める。
事故で自動車が大破した際の大きな音や衝撃、染み出たエンジンオイルの臭いや、救急車のサイレン、その場におけるあらゆる経験が常道と結ぶ付けられて記憶に留められる。
例えその事故による怪我が完治してもその場の体験は意識せずとも様々な状況と結び付けられて記憶されている。
先の我が家の犬の例ではないが人間の場合、更に上記の体験が複雑に絡み合って生活の中でも様々な場所で思い起こされる。
人間の場合、言葉からのイメージも大きな原因となる。
場合によっては、「交通事故」という言葉を聞いたり交通事故に関連する何らかのイメージを行っただけで当時の恐怖を思い出し身体を硬直させ、震えだし、痛みそのものを感じてしまう場合さえある。
交通事故に関連したあらゆる情報を脳がイメージ化し、恐怖体験に結びつけることからこのような身体への影響がでてしまう。
これらは全て危険を回避するために脳は危険回避の予測をしているといえる。
この予測が過剰になってしまうとPTSD(心的外傷後ストレス障害)といわれるような深刻な精神的な障害となる。
これらの脳の中での出来事を簡単に説明すると過去に交通事故を体験したことのある人間が、「交通事故の現場」を見たとする。
脳は視覚から得た情報を大脳新皮質の後頭葉にある視覚野へ伝達する。
更に大脳新皮質の視覚連合野においてその情報が何であるのかを分析する。
その情報が、「本当に交通事故であるのか」「もしかしたら交通事故ではない何かかもしれない」と思考し「映画の場面の交通事故の撮影かもしれない」と脳内でイメージする。
脳の大脳辺縁系では情動や記憶を制御する働きがありこれまでの交通事故の怪我の痛みや恐怖や不安な状況を思い出し、危険を回避しなければならないという情報も推測しながら逃げたほうが良いのか気をつけてその場を通り過ぎたほうが良いのか等あらゆる情報から推測してその後の行動に結びつけるための動機付けをしている。
過去の記憶は消せないが骨格を通して安心させることは可能である
こうした過去のイメージが身体に様々な影響を及ぼしている場合、現代医学ではまったく対応できない。
回復整体では過去の記憶を思い出すことであえて骨格にその時の状況を再現させてから施術を行うと症状が消失する。
過去のイメージから骨格変異を誘発させて記憶を消すのではなく、例えば交通事故の時の痛みや不安といったマイナスイメージを「安心できる情報」に変えるのである。
人間は不思議なもので過去の苦労はその時は嫌なもので悪い思い出しかなくても、その後の経験で「嫌な思い出が役立つ経験、楽しい経験だった」というように都合よく考えることができる生き物である。
同様に施術者が安心できる環境で心地よい施術を行うことで、マイナスイメージを骨格の変位をやめさせることで脳に勘違いさせることが可能である。
上記の交通事故の例で考えると確かに交通事故の経験は存在して、事故当時は激痛や苦しい記憶が残っている。
これまで交通事故を思い浮かべるだけで無意識に体中が緊張しすることで様々な痛み不具合が出ていたのに、安心した施術(骨格筋を通して無意識の脳に情報を与える方法)を行うことで、「交通事故=恐怖」というイメージから「交通事故=安心」というイメージと変化する。
交通事故を思い出しても、身体が痛くないというように施術効果によって変化する。
交通事故を思い出しても安心なんだ・・・というように脳が勝手に勘違いする。
心が感じたことを身体が勝手に表現(痛み)してしまう事をやめさせたのである。
イメージで骨格が変異する。そんな生理現象をうまく活用しているのが私たちが指導している回復整体である。
*以下、骨格を利用して悪いイメージを書き換えることができる施術方法の一例。
標準アプローチ法のカテゴリー
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応用技法(部位ごと解説)
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