<基本講座>回復整体の呼吸理論と身体の可動範囲その2

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<基本講座>標準アプローチ法で腰痛が改善する理由


<基本講座>回復整体の呼吸理論と身体の可動範囲その2

<基本講座>回復整体の呼吸理論と身体の可動範囲その1のつづきです。

自律神経についての回復整体の考え方

末梢神経、主に自律神経について回復整体の理論をまじえて更に説明します。
末梢神経とは、脳及び脊髄以外身体全体に張りめぐらされた神経のことです。

末梢神経は、脳や脊髄以外の全身に張り めぐらされた神経のことです。

自らの考えで動かすことができる体性神経と、その逆の自らの意思で管理できない自律神経という2種類の神経に分かれています。

そして自律神経は二つに分かれています。それが「交感神経」及び「副交感神経」です。

この二つの神経系に支配され働いています。

「その1」の説明では回復整体と自律神経が関与して行われる「呼吸」について説明しましたが、これもこの二つの神経系が働いて行われています。

「呼吸理論」では息を吸う時に交感神経が働き、息を吐く時に副交感神経が働らいて、それぞれ筋肉が緩んだり、緊張したりすると説明しました。

このように交感神経と副交感神経は全く異なる働きがあり、自律神経は二つの異なる神経系によってコントロールされているという事です。

難しく考えずにこの二つの神経系は、全く逆の働きをしていると理解していただければと思います。

身体の不調を訴えて回復整体の整体院におみえになる患者さんは、殆どのケースでこの自律神経に刺激を与えて改善していきます。

回復整体の様々な技法は、この自律神経を利用して本来自然に行われている現象に対して、人為的な刺激を与えて「脳」に信号を送ることです。

人為的と言っても無理な刺激を与えたりせず、本来無意識に、自然に行われている現象に着目し、「何が不足して、あるいは何が過剰に反応して痛みや不具合につながっているのか?」を発見して、相手の脳が安心できる適切な刺激を与えていきます。

自律神経(交感神経と副交感神経)について

「呼吸」について、初めて回復整体を学ばれる方には少し難しい感じがあるかと思います。

呼吸以外で交感神経と副交感神経の働きについて、もう少し説明してみます。

交感神経の働き

人間が何らかの動作している時(スポーツでも生活でも)身体は興奮状態といえます。
この場合、心臓の活動は活発になり汗が吹き出してきます。

こうした働きの時交感神経が関与しています。
交感神経は「闘争と逃走の神経」と言われています。

何らかの相手と戦闘する時、身体は緊張しないとなりません。
かなわない相手からは必死で逃げなければなりません。

闘争も逃走も心臓の活動は通常より活発になり、血圧が上昇します。
敵を確認し、よく見ることが必要になるため瞳孔が拡大し、呼吸が活発に働くように仕向けます。

そのどちらも身体が興奮状態でないと命に関わることになります。
このように交感神経は命を守る時に身体を興奮状態にさせておく必要があることが理解できると思います。

副交感神経の働き

次に副交感神経の働きについて説明します。
交感神経とは全く逆の働きをする神経だと考えてくだされば結構です。

交感神経は興奮する時に働く神経。副交感神経は身体がリラックスし、ゆったりしている時に活発に働くようにできています。
生活の中で言えば、睡眠中には身体がリラックス状態にないとよく眠れません。

身体を休めている時、副交感神経が活発になるということです。
食物が体内に取り込まれた際にも、胃液が分泌され、腸のぜんどう運動を活発にし、必要のない他の部位はリラックスさせなければなりません。
食物を消化したり、移動させたり、便を排出しやすくしています。
交感神経が心臓の動きを活発にする働きがあることと比べると、副交感神経は心臓の機能を抑制するという働きがあります。

このように副交感神経は身体が落ち着いているときに働き、活発になる神経です。
皆さんが実際に身体を休めているときに、どのような機能が働いているかを考えると分かりやすいかもしれません。

回復整体の技法で交感神経と副交感神経に働きかける

回復整体では不眠症と言われる方がお見えになります。
あるいは子供が夜なかなか寝てくれない。

そのような症状や困り事で来院される方もいます。
回復整体の技術で副交感神経が働くように、身体の緊張を解いてあげれば改善します。

交感神経が何らかの働きすぎで過剰に筋肉が緊張してしまっている場合、筋肉がゆるむような刺激を脳に送ってやればよいわけです。
動物は交感神経が過剰に刺激された場合、身体全体に緊張が入るよう学習され、自らの意思では筋肉を緩めることができません。

身体の無意識に行われている学習に対し学習をやめるよう、副交感神経が反応するよう優しい刺激を与えることで、痛みや不具合を改善させていきます。
無意識に反応しているのですから、自らの意思でどんなに身体を叩いたり、揉んだりしても、筋肉自体は柔らかくならないのです。

何も考えず(自律神経を意識しないで)揉んだり、叩いたりしてもその刺激が攻撃されていると判断されます。
身体は攻撃を受けたと感じ、防衛反応を発令し強化します。
交感神経は身体を守るため、過剰に骨格全体を緊張させるように仕向けます。

長時間(長期間)この状態が続くと、意識しても元に戻らないこともあるのです。

こうした普段当たり前に行っている刺激でも、交感神経が働いているのかあるいは副交感神経が働いているのか、考えながら生活することも勉強の1つになると思います。
回復整体では、何も考えずむやみに刺激を与えてはならない。

そのように説明しています。

何も難しいことでは無いのですが、回復整体を学問として考えるとこのような説明をしないとわかっていただけないこともあります。

睡眠の前には熱いお風呂より、ぬるめのお湯の方がよく寝れる。
朝起きて入る頃は、熱めのお湯が目覚めにより。
子供を寝かしつける前は興奮させない方が良い。

上記の事はよく知られている一般論だと思います。

私たちが活用する回復整体の理論は、こうした皆さんが一般常識としている考え方の延長にあるものが多いのです。
簡単に、当たり前のように言われていることを学問にしないと、何故かみなさん聞く耳を持ってくれません。
不思議です。

副交感神経の働き過ぎが原因の腰痛もある

余談ですが、回復整体では交感神経の刺激も活用します。
例えば、 「腰痛」といえば通常は1種類しかないと思います。

腰が痛いといえば、単なる腰痛です。
現代医学の治療を受けても、筋肉が固くなっているという理由から筋肉を柔らかくする薬を飲んだり、注射をうったりします。

しかし、筋肉が弛緩しすぎて発生する腰痛も存在しています。
腰痛を発生させている何らかの原因が、副交感神経が働きすぎで筋肉がゆるみすぎている。

よくある「筋肉のゆるみすぎ」の腰痛は、普段睡眠時間をあまりとらないような方が風邪をひいたり、長期間寝込むようなことがあったとき起こります。
「寝て起きたら腰が痛くなっていた」そのような場合です。

ゆるみすぎている筋肉に対し、さらにゆるむような薬を飲んだり、注射をすれば原因が全く違いますから余計に痛くなることもあり得ます。
原因が睡眠の際、副交感神経の働き過ぎでどこかの筋肉が過剰に緩んでいる。

そう考え、回復整体では交感神経を無理なく刺激し、原因がある部位だけに自動的に交感神経が働き、対象の筋肉が緊張するように技をかけていきます。
先に説明したように、回復整体では「呼吸」を活用して交感神経にも副交感神経にも筋肉を介して働きかけることが可能です。

緩んでいる筋肉には緊張を「交感神経=吸気」、緊張しすぎている筋肉には「副交感神経=呼気」というように筋肉に刺激を与えます。
この原理を知らず、何も考えないで揉んだり叩いたりしても、不必要な部位が緊張すれば骨格が乱れ身体がさらに歪みを生じさせ、よりギクシャクした腰痛になるでしょう。

他の医学では根本原因がわかっていない

回復整体をスポーツやそのトレーニングに活用して整体院を開業している卒業生もいるのはこうした特性を持っているから様々なスポーツの競技能力を引き出しやすいという事もあります。

一般的に何らかの長時間労働で同じ姿勢を続けていると筋肉の疲労や緊張が発生すると言われています。
また、手枕をしながらテレビを見たり、よく座りしながら洗濯物をたたむ、こうした悪い姿勢を長時間続けていると過剰に骨格が歪むための筋肉や組織が引っ張られる。

原因は分かっている?かもせれませんが、どうやったらその部位の緊張がとけるのか現代医学や他の民間療法では、わかっていないのが現状のようです。
筋肉が緊張することでその部位が疲労し乳酸と言う疲労物質がたまってくる。

そうなると血管を圧迫し血行が悪くなり疲労物質が取れなくなる。
さらに悪い姿勢が続くと、末梢神経が圧迫され、ダメージを受け痛みとなって感覚に現れてくる。

では、その圧迫やダメージを薬物で無理矢理改善させようというのが対症療法です。

西洋医学の薬や手術でも、東洋医学の漢方薬でもこれは同じです。
よくなることもあれば、ならないこともある。
(他の医学が必要ないという事ではないので誤解しないでください。)

結果が出たり、出なかったり、まぐれ当たりしかない。
本来の原因がわからないから、よくならないのです。

コリや痛みを足りない成分を補い改善させようと、流行のサプリメントやビタミン剤を飲んで改善しようとしても、原因が違うところにあれば無駄なお金を使うことになります。

回復整体では悪い姿勢や、長時間の同じ姿勢での疲労を人間の本来持つ生理現象を活用しながら改善していきます。
本来は、多少悪い姿勢や長時間労働が続いても元々持っている健康情報が身体にはあります。

健康な身体を持っていれば夜間睡眠をしっかりとれば、こうした疲労や多少の不具合は改善します。

しっかり睡眠を取ったつもりでも、疲労や不具合が起こっているという事は、栄養の問題ばかりではありません。
不足している栄養をいくらとっても、改善しないという事もあるわけです。

骨格の状態から考え脳に刺激を送る回復整体

他の方法を試してもよくならないとき、もう一つ考えることがあります。
もう一つとは「骨格」についてです。

骨格は脳の指令を受けて成り立っていることを考えるべきです。

骨格から、悪い状態(痛みや不具合)がなぜ出ているかを考えてみる。

回復整体では悪い状態(姿勢や動作)が繰り返され脳が記憶してしまっているかもしれない。
と言うように考えます。

長い間悪い状態が続いているから痛みや不具合が発生している・・・と考えると、その逆を行えばよいということに行きつます。
最初は意識して行われていた悪い情報、ようするに悪い姿勢や長時間の同じ姿勢での骨格の乱れ、良い情報に書き換えていきます。

具体的には正しい筋肉の状態を無意識と意識の両方から情報を送ることをします。

無意識の領域には先に説明したように、「呼吸」を活用し相手の自律神経系に情報を送ることで改善していきます。
意識的に行うのは、間違った姿勢を正す動作を脳に記憶させることです。(大脳から小脳へプログラムを送る)

そんなことをしなくても、ストレッチとか体幹トレーニングをすればよいのでは?

と思われるかもしれません。

しかし、意識して鍛えたり、緩めたりする方法は限られています。
人間は何も意識せず立つ(直立)ことができます。では、立つためにどの筋肉に力を入れて、逆に度の筋肉を緩めれば立っていられるのか?そんなことを考えているわけではありません。

立つという動作、微妙な筋肉の動き、バランスをとるための行動を脳(小脳)が管理して行っています。

この動作に乱れが生じていても、通常の運動やストレッチでは改善できません。

その動作、姿勢を行うための正しい動きを繰り返し意識的に行うことで脳がその状態を自動的に行えるように仕向けるわけです。

脳のプログラムを書き換える方法が回復整体

繰り返しの動作は最初は意識していても行えますが、何度も繰り返すうちに自動で気に行えるようになります。

考えなくてもできるようになるのです。
人間は赤ちゃんの頃から、様々な姿勢や動作を学習していきます。

最初からすべてプログラムされていたわけではありません。
ハイハイする、立つ、座る、コップをもつ、鉛筆を持つ・・・

すべては意識してやっていたことが無意識にできるように学習します。

これを熟練の動作といいますが、自転車の乗り方を一度覚えれば、考えずにペダルをこげるようになるのと同じです。

間違った動作を正しい動作に置きかえるということは、痛みや不具合が出る動作や、悪い姿勢をの脳が記憶してしまっているという事になります。

このことを簡単に言えば、意識している時は大脳が関与、意識していない時は小脳が関与しているという事です。
小脳は普段当たり前に行っていることを自動的にできるようにしてくれています。

大脳で繰り返し行われた動作のプログラムが作られます。
その動作を習得したのちに、小脳または前庭核にその動作のプログラム、例えば自転車の乗り方でもスポーツの動作でも保存されることでその後は無意識の動作として行えるようになります。
小脳が作成されたプログラムを管理しているからです。

人間が行う全ての繰り返し動作がプログラムされるわけです。
悪い動作でも姿勢でも。

何でもかんでも。
子供に正しい姿勢の躾をしても、親の悪い姿勢や動作をやめなければ子供たちはそれを見て学習します。
子供は周囲の大人から、その後ろ姿を見て見よう見まねで覚えるのです。
だから親が姿勢や動作を正さない限り子供もよくならないのです。

逆に健康に良い動作、姿勢も同じようににプログラムされます。

ですから長時間(長期間)の悪い姿勢や同じ姿勢での仕事がプログラムされた場合、このプログラムを書き換えなければ痛みや不具合は取れないのです。

プログラムを書き換えず、更に悪いプログラムを追加すればどうなるか?
悪いプログラムとは薬物を強制的に与えたり、自律神経の働きを考えず余分な刺激を与えることです。
すると、更におかしな部位が緊張したり、疲労を感じたりするプログラムをつくる結果となります。

悪い動作や姿勢を繰り返しても、それによって痛みが出ていても、脳はその姿勢や動作が身体に良いか悪いかという判断はしません。
悪い姿勢を繰り返せば単純に記憶するだけで、痛みが出るからやめなさい!とは絶対に言いません。

プログラムを痛みや不具合のない、元の状態に書き換える以外方法がありません。

これはパソコンのプログラムと全く同じことです。
どちらも情報を書き換えなければ、正常に動くようにならないのです。

健康に良いプログラムを組むか?悪いプログラムを組むか?
その選択するのは自分次第という事になります。

 


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