回復整体における身体と脳(心)の関係

身体と脳(心)の関係

身体と脳(心)との関係を考えると、施術者にとっても、患者さんにとっても大変興味深い
ものがあります。
身体(五感)が感じた情報は、最高司令官である「脳」に送られ、脳の指令によって、日常的な様々な動作が行われています。
言い方を変えると、身体は脳の命令にしか従うことが出来ないのです。
全ての身体活動は脳に支配されています。


また、無意識に行われている身体活動もあります。
例えば、心臓や胃腸の筋肉は、意識的に指令を出しても活動をとめたり出来ません。
心臓の筋肉を意識して緊張させたり、弛緩させたりは出来ないのです。
心臓の筋肉(心筋)は、身体をめぐる血液を送り出しています。
そのため一定のリズムによって動かされています。
これらの臓器は、単独で勝手に動いているわけではありません。
意識とは無関係で動いているように感じても、全てが脳の指令を受けて活動しています。
意識が関与しなくても、自動的に活動できるように脳が指令を送っているのです。
常に現在の環境に照らし、意識的に行われる身体活動にあわせて行われています。
例えば、走り出せば心臓の動きは活発になり、血液を早く送り出そうと活動します。

逆に睡眠時などの安静時は、緩やかに活動するように出来ています。
このように、意識、無意識に行われている活動の違いはありますが、様々な方法で脳は五感を通じて情報を収集ながら身体各所に指令を与えています。
脳と身体との関係は、コンピューター(脳)と配線(ケーブル)で結ばれている機械のようなものと言えるでしょう。
ただし、人間が機械と違うのは、脳は身体からの情報を元に常に成長しているということが挙げられるでしょう。
そこに人間らしい精神的な活動が生まれ、脳や身体に影響を与えています。
人間は誕生してから、様々な体験から得た情報を元に脳を成長させていきます。
人間は運動をしたり、言葉を使います。
言葉の学習は、文字を読み、聞き、話すことで記憶していきます。
運動は、何度も同じ動作を繰り返すことで、脳が記憶して、スムーズに動作が行えるように運動能力を高めていきます。
その過程で、何度も失敗しながら成功体験を繰り返していきます。
これらの体験を記憶に留め、肉体的にも精神的に強くなっていきます。

失敗しても、何度も繰り返し、困難に立ち向かう勇気や自信を培っていくのです。
脳と身体が双方で成長していく過程で、一人前の人間が育てっていきます。
回復整体では、日常的に当たり前のように行われている活動について、脳と身体との関係、人間の精神的な部分にまでアプローチしています。
この関係を多角的に分析して、理論として体系化し、整体技法を指導しています。
前述のように、人間は脳と身体が互いに成長する過程で、精神活動にも様々な影響を与えています。

逆を言えば、身体は精神からも様々な影響を受けています。
頭で考えること、すなわち脳内でのイメージしたことや、感情(情動)は身体にさまざま影響を与えています。
このとき、脳では様々な脳内物質が分泌され心身ともに影響を与えています。
良い影響であれば、心身ともに充実した健康的な生活ができます。
悪い影響であれば、骨格をゆがめたり、病気になったりします。


すなわち、現実の活動でなくとも、脳は過去の出来事や経験から得られた情報を元に思い浮かべたイメージ内の出来事からでさえも感情が働き、骨格や内臓諸器官にも大きな影響を与えています。
回復整体は、骨格の問題を現実(転んで怪我をしたり、病気になったり)と非現実的(思い浮かべたイメージ)を分離させて考えることはできません。
どちらでも脳への情報が身体に影響を与えていると言う、視点に立つことで開発された理論と技法です。
この療法では脳は人間の全ての活動の最高司令官という位置づけを崩すことなく、また精神(心)と身体(骨格)は別のものではなく一つのものとして考えています。
人間の身体は機械ではありません。機械は部品の寄せ集めで出来ています。

部品が壊れれば、取り替えることで修理が出来ます。
しかし、人間の場合、手や足がなくなっても、簡単に取り替えることは出来ません。
また、機械のように電源などの動力のスイッチを切れば活動を休止できるものでもありません。
人間が身体の全ての活動を休止するときは、生命活動をやめたときだけです。
すなわち、死んだときだけです。


生命活動を休止した状態の「死体」は、物体でしかありません。
現代医学では、死体を解剖し、その基準から様々な病気や症状を考えています。
回復整体では、人間の身体を機械でもなく、死体でもない。
生きている人間が、その時、その瞬間にどのような状態にあるのか。

常に考えながら生み出された理論です。
「心と身体」を同時に考えることで現実、非現実を問わず脳内で行われている様々な活動を骨格上の問題に置き換えて、人間が人間らしく健康的な生活が出来るように考えられた方法です。
また、これらの脳と身体(骨格)の関係が、多くの健康問題に直結しているということを、多くの方々に知ってもらうことも私達の願いのひとつです。
身のまわりに起こる様々な事象を視点を変えて考えていただきたいと思います。
特に身体(五感)からの情報や、過去の経験からのイメージや感情の変化がどのように骨格に影響を与えているのか、これまでにない方法として脳と骨格との不思議な関係を理解していただければと思います。

 


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