回復整体で重症な方を施術する際の注意事項

重症な方への施術について注意事項

リハビリや無理な骨格矯正を受けて人為的に発生した身体の歪み、捻じれは、ご本人が無理をした場合などに発生した歪み、捻じれと違い、自然な状態での身体の使い方で発生した不具合ではありません。
したがって、これらの歪みは通常の生活の中で発生した不具合と比べて改善しにくい特性があります。

これらの治療等(不自然な姿勢を強いられるスポーツ、職業を含む)を長期にわたって、受けていた方は、重症な場合が多いです。
例えるならば、自然に絡まった糸とは違い、わざと結び目をつくり、絡みをつけた状態がこのような症状です。

患者さんによっては呼吸も不自然になり、施術所に息を切らせ倒れこむようにみえる方もいます。
このような時、どこから施術をして良いのかわからないと思えるかもしれません。

初めて上記のような不調者にあたると、何をしていいのかパニック状態になる整体師の先生方もいると思います。
これまで施術を担当したこともない重症の方が来院した場合、まず行うべきことは施術者自信が心を落ち着かせ、混乱した自分を横に置き、冷静な自分を取り戻して以下のことを実行します。

回復整体の守備範囲外である、外傷や骨折、救急医療が必要な症状の場合は、ご本人に直ぐに関係機関に連絡を取るように伝えます。
これ以外の症状であれば、以下のことを実践して相手の症状を速やかに回復させることができます。

1.直ぐに施術をしない

いきなり施術をしようとせず、5~10分でもよいので相手が一番楽で痛みのない状態をとらせ、ベッド(施術台)に寝てもらう。
この状態で不用意に相手に触れると、かえって症状を悪化させることにつながる可能性があります。
先ずは相手の恒常性を壊さないように、一番楽で安心できる体勢を探します。

2.相手の状態をよく観察する

息を切らして痛い状態であっても、その間相手をよく観察します。
観察することで相手の痛みのない、最も楽な状態を把握するします。
相手がとった楽な姿勢が痛みを改善させる最大のヒントですから、その際の身体の動き姿勢をよく念頭に入れておきます。

3.安定するまでさらに様子をうかがう

2の後、痛みが残っていても、ある程度症状が安定するまで様子を見ます。
具体的には相手の呼吸が安定したことを目安とします。
相手に一番楽な姿勢をさせることで、相手の精神状態と身体は安心して落ち着いてきます。
更に呼吸を落ち着かせることを考えます。
呼吸がおかしいと、それだけで身体中の筋肉がガチガチになります。
呼吸ができなければ、即、死につながるため、呼吸は一番重要と考えます。

5.楽になったと判断できたら施術する

4の後、必要があれば、数分寝かせて少し楽になったと判断したならば施術を行います。
動物はとにかく、何らかの不調があれば、身体を横にすることが一番楽だと知っています。
相手は身体中に防衛反応を張り巡らせているので、先ずは歪みを取れば良いと、標準アプローチ法をダイレクトにやらないようにします。

6.基本は相手にとっての優しい刺激

回復法の手順は関係なしに、身体の一番遠い場所から施術をはじめます。
手足の指先から、軽擦法、五指ゆらし法等、外から中心に向けての応用技法を行います。
多少でも相手に無理がかかると判断すれば、行う技法は更に軽く優しく行います。
刺激が適度だろうと行った技法でも、強い刺激と相手に感じられたのであれば、もっと刺激がないように工夫するか、他の技法に変更します。
最適な技法で相手の環境を壊さなければ、呼吸が楽になって、身体の防衛反応が少しずつ解けてくるのがわかります。
酸素がしっかりと身体に行き渡ると身体の緊張が徐々に解けてきます。
興奮して余分な酸素を消費していると、身体に行き渡らないので、脳も身体も、自由が利きません。これが生命を脅かす恐怖のもとになります。

相手が落ち着いて、標準アプローチ法や他の応用技法を行えるようになっても、通常より、小さく、ゆっくりと相手に恐怖を与えないほどの安全な刺激を心がけるようにします。
決して施術者自身の程度に合わせてず、相手の環境(恒常性)を意識しながらあわせます。

目の前にいる不調者の現時点での「程度と加減」を最大限心がけ相手に合わせることを第一に行います。
おびえた身体は、安全で安心な刺激だけを受け入れることが可能です。
優しい刺激だと勝手に考えないで、「相手にとって優しい刺激とは?」と常に頭に入れて対応しましょう。

7.緊張がとければ「程度度加減」を考えながら施術する

その後相手の身体が安心して、緊張が解けてくれば、どんなことも受け入れるようになってきます。
最初は全く受け入れなかった技法でも、問題なく行えるようになります。

もう大丈夫と判断し、次の段階に写ろうとしてもまだ、刺激が強いと思われる場合や技法の判断が難しい時は、再度手足の先端(患部から一番離れた部位)から行います。

回復整体の技法は、どの方法でも全身に影響します。「歪みを解消してから・・・」と、標準アプローチ法にこだわらず、このようなけーすでは、どの技法でも良いのでできる範囲の事をおこないましょう。

相手に楽な姿勢や動作をとらせること、そして優しい刺激を使ったどのような技法でも行ってみる。

この二つの事で、最初は苦しいながらも、徐々にその場の環境に適応し、身体が安心すれば、それだけで呼吸が楽になり、緊張が解けて全身が楽になってきます。

8.時間と体温について

このような方の施術は5~10分様子を見るが、体温が下がらないようにこのとき毛布などをかけると良いでしょう。
応用技法を手足からはじめるということは、身体の末端に体温が戻ってくるということです。
寒くて震えるような場合、特に有効です。

9.恒常性を意識して対応する
先に述べたことと関係(重複)しますが、いきなり苦しい場所からはじめないようにします。
僅かな刺激でも、相手の身体(脳)が危険を感じれば、更に身体は引きこもり、身体全体が緊張ことになるかもしれません。
身体は現在の環境に対しての反応しかしません。(イメージで変化することとは別にして)
相手の環境に応じて、少しずつ施術をして様子を見ながら進めることが重要です。
最初からあれこれと技法を変更したり、無茶をせず、一つの優しい刺激からはじめて、受け入れられるように工夫します。

10.相手に変化がない場合

体勢や動作を変え、どんなに優しい技法を行っても、変化がないということは身体がまだ危険を感じているということです。
これまでの技法が不調者にとって、安心できないものだったかもしれません。そうした場合更に引きこもり、緊張します。
更に安心した技法は何だろうと考え、受け入れられる刺激を考える。
同じ技法は3度まで行ってみましょう。3度行っても反応が認められない場合は、その手法を繰り返さないようにします。
この場合は原因が違うと判断します。(器質的疾患や対象外の病気。治療をする)

11.施術後の対応

施術後、効果があって痛みが取れても直ぐに動かさず必要があれば、楽な状態で寝かせておきます。(10分~20分程度)
体温が下がらないように不調者に毛布などをかけてあげましょう。
寝ている途中で痛みなどの症状が発生した場合は、再度上記のことを繰り返します。

12.心身ともに楽になった状態で帰宅させる

症状が発生した場合に最も簡単にできる回復ストレッチを指導します。(本人が覚えられない、できない場合は家族に指導しても可)
痛みが発生しないように起きる方法、身体の使い方を指示します。
具体的にはベッド(施術台)から起きる際に、一番楽な方法で行うようにします。すべての動作を一度に行わせず、次の動作にうつるさい、準備として数回その動作を繰り返してから次の動作に移るように指示します。

13.相手の目線にあった伝達術を心がける。

これは最も大切なことです。
何故このような症状が発生するのか、不調者本人に理解させるように伝達法を使い、伝達します。
決して施術者本意での説明をしないことが重要です。(技術・理論バカとならない)

14.上記事項を行っても判断がつかない場合

以上のことを実行しても、まったく判断がつかない、または症状に変化がない場合は、講師に相談するか、関係機関に連絡するように伝えます。
自分より経験のある人間、専門家に指示を仰ぐことは恥ずかしいことではありません。


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